ソチ五輪に出場する日本人選手で最も金メダルに近いとされている17才の高梨沙羅選手。2日のW杯では、女子シーズン単独最多の10勝という偉業を達成した。
高梨のジャンプの凄さは、その「抜群の安定感」にある。助走の際に姿勢を維持するためには、足首などの柔軟性が重要とされるが、彼女は体が非常に柔らかいため絶妙なバランスを保てるという。
だが、それは生来の能力ではなく、努力の末、獲得したものなのだ。高梨は4才から、地元・北海道上川町のバレエ教室『板谷敏枝バレエ研究所』に週に1回通っていた。昔ダンスをやっていた母親が勧めたのだ。主宰者の板谷敏枝さんが、当時の高梨を振り返る。
「身体能力は高かったんですが、いかんせん体が硬かった。開脚がなかなかできなくて、沙羅ちゃんはできる子たちに負けじと、目に涙を溜めながら頑張ってました」(板谷さん)
そのあまりの硬さに、母親も、「沙羅はどうすれば体が柔らかくなりますか?」と板谷さんに尋ねたほどだった。
「お母さんと沙羅ちゃんに、家でもできるストレッチのやり方を教えました。また、“体をほぐしやすい、お風呂上がりにやるのがおすすめ”ともアドバイスしました。
そのかいあってか、小学校に上がるころには、ずいぶん開脚ができるようになっていましたよ。陰で、ものすごい努力をしたんだと思います」(板谷さん)
その後、小学2年生になると、スキーを始め、バレエ教室は中2で行かなくなったが、その時、身につけた驚異の柔軟性で、日本の絶対的エースに成長した。彼女の強さを支えているのは、悔し涙を流した幼いころのバレエ修業だった。
※女性セブン2014年2月20日号