困窮経験4割が連鎖 県「子ども調査」、学ぶ機会欠如も4割超


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 県が小中学生と保護者を対象に実施した「沖縄子どもの調査」で、子ども時代(15歳)の生活が「大変苦しかった」と答えた保護者のうち、現在も困窮経験があると答えたのが約4割以上に上ることが24日分かった。貧困が連鎖している傾向が浮き彫りになった。一方で子ども時代は「普通だった」保護者のうち、現在は困窮経験があるのは2割程度で、連鎖する貧困世帯との落差が際立った。さらに経済的な困窮が、子どもの学びを含むさまざまな機会を奪っていることも明らかになった。

 家計状況では「借金で生活している」「貯蓄を崩している」と答えた保護者が合わせて25・9~33・6%いた。「ぎりぎりだ」との回答も50%を超え、貧困か貧困でない(非貧困)かにかかわらず困窮する保護者の多さが目立った。
 貧困状況の連鎖を見る問いでは保護者自身が15歳時の生活状況が「大変苦しかった」と答えた人の4割以上が「過去1年間に経済的理由で必要な食料を買えない経験があった」と答えた。一方、15歳時が「普通だった」人で困窮経験があるのは2割程度だった。どの学年でも同様な結果だった。
 経済状況が子どもの生活や学びに与える影響として、学習塾に経済的に通うことができないとした保護者は、貧困層で46・6~53・4%いた。非貧困層に比べてどの学年も約30ポイント高く、さまざまな機会が奪われていることが分かった。立教大学の湯澤直美教授は「習い事や通塾経験は、学力の向上や進学に直接的な影響を及ぼす上に、友人との共通の会話に支障が出る場合も多い」と影響を指摘している。
 県は今後、調査結果のさらなる分析を進めるとともに、被支援者の聞き取りなど新たな調査も実施し、効果的な貧困対策に生かしていく。
 調査は昨年10~11月、県内の小学1年生の保護者、小学5年と中学2年の子どもと保護者を対象に実施された。対象は子ども3195人、保護者4973人で、回答は子どもが2401人(有効回答率75%)、保護者3552人(同71%)。ことし1月に中間結果が報告され、今回は新たな調査結果を盛り込んだ概要版として発表された。