同じ趣味をもつ仲間のためのシェアハウスや子育てで協力し合うシェアハウスなど、テーマをもったシェアハウスが増えている。世田谷区駒沢に登場したシェアハウスは、その名も「ゴルファーズレジデンス」。ゴルフ好きが集まるシェアハウスのようだ。どんなシェアハウスなのか、見学してみた。
東急田園都市線の駒沢大学駅から徒歩6分に立地する「ゴルファーズレジデンス駒沢」で、見学者と入居者が懇談するイベントがあると聞いて、自分も体験してみようと出かけた。実は筆者は、一時期何度かコースに出た、へなちょこゴルファー。何年かぶりに取り出したゴルフ手袋は、皮がボロボロで使えないことが判明。仕方なく手ぶらで訪ねた。
まずは総戸数54戸の「レジデンス」の部分、居室や洗面、浴室などの設備を見せてもらった。居室は6畳程度の広さで、ベッド、エアコン、冷蔵庫、収納が備え付けられている。2階~5階の各フロア(2階は女性専用フロア)に12室~14室あり、共用のトイレと洗面所、洗濯機がある。
1階はシューズボックス、浴室、キッチン、リビング、ダイニングなどの共用設備が備えられている。浴室については、女性用はシャワーブースとユニットバスが2つずつあり、マッサージチェアやスチーマーも置かれている。男性用はゴルフクラブのような大浴場だ。また、LDKスペースは広々としており、4つの大型キッチンに、電子レンジや炊飯器、食器なども常備されている。料理の腕もふるえそうだし、居住者同士や友達を招いたミニパーティーもできそう。
賃料は、6万9000円~7万6000円で、ほかに管理費が7000円、水道光熱費等で8000円が必要。一般的にシェアハウスに住む人は女性のほうが多いというが、運営する(株)アスラボの小島克巳さんは「6対4くらいの割合で、若干女性が多くなるのではないかと予測しています」ということだ。
そうこうしているうちに、イベント参加者が集まってきた。見学者、入居予定者、入居者とさまざま。ランチを食べながら、自己紹介をしたり、ゴルフやシェアハウスなどの情報交換をしているようだ。大型テレビに流れているのは全米オープンの様子。食後には、手前のパターで練習する人も現れた。
参加者に話を聞いてみた。ゴルフに興味があるか、シェアハウスに興味があるかに分かれるが、プロのレッスンも受けられるイベントなのでゴルフ好きが圧倒的に多い。
同じゴルフ好きでも「気軽にゴルフの練習ができる環境が整っているのがよかった」というレベルアップに期待する人もいれば、「ゴルフ好きの友達は多くないので、ここに住めばゴルフ仲間ができると思った」というコミュニティーに期待する人もいた。今もシェアハウスに住んでいる人のなかには、「ゴルフが大好きで、ゴルフ好きが集まるシェアハウスがあったら、入居したいと思っていた」という人も。
参加者が打ち解けたところで、提携している東京インドアゴルフのレッスンプロ、伊藤翔太さんによる体験レッスンが始まった。まずは、中庭のバンカーに集合。バンカーショットを参加者それぞれに個別に指導してくれるので、上級者も初心者も楽しめた。
次は屋上に上がって、屋上のゴルフ打席やシミュレータールームのレッスン。屋上に上がってみると、富士山も見えた。晴れた日中なら快適に練習ができそうだ。
参加者が集まる前に、入居者が“お勧め”と教えてくれたシミュレータールームで、久しぶりにスイングしてみた。なんと、最初は床をはうショット!それでも、シミュレーターは、球の軌道や飛距離を表示してくれる。クラブのフェイスが球にどういった角度で当たったかなども表示されるのだが、へなちょこゴルファーはそれどころではない。第2打はそこそこいい感じの軌道になった。そのうち腕に覚えのある参加者が集まってきたので、へなちょこは早々に退散。
シミュレータールームは防音になっているので、会社から帰宅した後で練習することも可能(22時まで)。入居者のゴルファーによると、スイングがチェックできるので頻繁に利用しているとのこと。
ゴルフに関連した設備には、中庭のアプローチエリアとバンカー、屋内のパター練習場、打席スペース、シミュレータールームがある。また、入居者は、25分のプロのプライベートレッスンが、3000円(初回のみ1000円)から受けられるサービスもあるという。
イベントに参加してみて、ゴルフといった共通の話題があると、参加者がすぐに仲良くなれ、会話がはずむ効果があることに驚いた。54戸に住む入居者がすべてゴルフ好きとは限らず、シェアハウスに魅力を感じる人、駒沢大学駅徒歩圏という立地に魅力を感じる人など、さまざまな人がいるだろう。シェアハウスとしての設備は整っているので、ゴルフに興味がなくても快適な暮らしはできそうだ。それでも、ゴルフに興味が生じれば、すぐに仲間ができるという点は、ほかにはない魅力といえそうだ。