住まいの雑学
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2013年4月8日 (月)

春は別れと出会いの季節。〝引越しにまつわる甘酸っぱいエピソード〟

大切な人との別れは寂しいものですが、改めて家族の大切さを実感する季節ですね(写真:Fuse/ thinkstock)
写真: Fuse / thinkstock

4月に入り早くも1週間がたった。この時期には新しい環境へと身を置く人も多く、同時に引越しをするという人も増える。進学のため実家を出て一人暮らしを始める人、転勤で家族と離れ単身赴任生活を始める人…。さまざまな別れや出会いが生まれるのも、この季節ならではだ。

そこで今回は、〝引越しにまつわるエピソード〟を、いくつか聞いたのでご紹介したい。まずは都内在住の主婦Mさん(29歳)のお話。

「茨城から上京したとき、引越しの日に母に付き添ってもらっていたのですが、段ボールをテーブルにして、その上で母がつくってくれた料理を食べたのをよく覚えています。次の日、東京駅のバス乗り場まで母を送っていき、バスが来るまで30分ほど時間があったのですが、母が『いいよ、一人で待てるから』と言ったので私は自宅に戻ろうとしました。だけど、途中で心配になってバス乗り場まで戻ると、人ごみのなかで母がキョロキョロとしながらバスを待っている姿が見えました。なんだかその姿がとても切なくて、慣れない東京へ私のために来てくれたこと、そしてそんな優しい母と離れることを思うといつの間にか号泣していました」

う〜む、なんとも切ないような、思わず目頭が熱くなってしまうような話だ。次は会社員のHさん(男性・34歳)。

「九州から上京してきたんですけど、高校の同級生が先に上京していたので、親や地元の友達と離れることはあまり寂しいとは思いませんでした。でも、引越しの日、飛行機に乗って羽田空港に降り立ち、東京モノレールで浜松町駅に向かっていたとき、夕暮れのなかにたたずむ高層ビル群を見て『あー、上京してきたんだなぁ…』とシミジミ。なぜか、地元で過ごした18年間が頭のなかでプレイバックし、センチメンタルな気持ちを初体験しました」

なぜ、電車とその車内から見る風景というのは、かくも人の情感を揺り動かすのだろうか…。では最後は、見送る立場でのお話。聞かせてくれたのは、会社員Sさん(男性・32歳)だ。

「岩手から九州へと進学する、小学生のころからの友人を、私と友人数人で地元の駅へと見送りに行ったときのことです。駅には私たちと旅立つ彼、そして彼のお父さんがいたのですが、そのお父さんというのが大学の教授で、彼の家へ遊びに行っても滅多に私たちと口も聞かず、ただただ堅物という印象でしかなかったんです。ところが、ひととおりの挨拶を交わしたあと、そのお父さんが涙ぐみながら私たちに『今日は息子のために来てくれてありがとう』と言ってくれたんです。そのとき、なにかえも言われぬ感情がわき起こってきたのを、今でもはっきりと憶えています」

友人と肉親という送り出す立場の違いによっても、また心境が異なるのかもしれないが、こんな別れのエピソードもあるのだ。

〝深イイ話〟とまでは言わないが、今この瞬間にも、いろいろな場所で、いろいろな人びとが、大切な人との別れや新たな出会いを、それぞれ体験しているのかもしれない。

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