ここ6年以内に、住宅を購入したママ2038人にウィメンズパーク(ベネッセコーポレーション)と共同でアンケート調査を行った結果、ママの住まい探しで最初に悩む「マンションか、一戸建てか」問題ですが、約7割のママが一戸建てを選択するという結果に (https://suumo.jp/journal/2013/04/22/41933/)。
ただし、地域によっても大きく異なり、首都圏では4割以上がマンションでした。
今回は、「マンション購入者」に絞って、住まい選びの条件について、ママを対象にしたアンケートデータと、筆者が独自に集めた生の声をもとに、それぞれの事情について探ってみました。
マンション購入者(新築・中古含む)に聞いた、「マイホーム購入の際に、ゆずれないと思った条件」の結果は、(1)価格 (2)部屋の向き (3)最寄駅からの所要時間 (4)通勤・通学時間 と続きます。(表1参照)
もともと、利便性が高いという理由でマンション暮らしを選択する人が多いので、最寄駅からの所要時間や通勤距離などの「利便性の高さ」の優先度が高いようです。
一方、「購入の際に、決め手になった条件」の結果は、(1)価格、(3)最寄駅からの所要時間 はゆずれない条件の上位と変わらないものの、(2)生活環境が良い、(3)教育環境が良い となっています。(表2参照)。
つまり、最初の条件は、「通勤時間は30分で」「南向きで」などと考えつつ、最終的には「環境が良い」――つまり「街選び」が重要な決め手になっている、ということが分かります。
また、おもしろいのが、同じ利便性の条件でも、「通勤・通学時間」より「最寄駅からの所要時間」が、決め手ではずっと上位にあること。「駅から近い」ことは大きな利点に感じやすく、購入を決断しやすいといえるのかもしれません。
「最初はもっと広い、同じ3LDKでも80㎡以上はほしいな~と漠然と思っていたけれど、やっぱり予算的に無理。とはいうものの、ずっと都心暮らしだったので、おしゃれなカフェやおいしいイタリアンとかが徒歩圏で行けたり、電車で青山や渋谷に気軽に行ける生活も捨てがたかった。結局、ギリギリ世田谷区、72㎡の3LDK、駅徒歩10分のマンションというのが、私たちの落としどころでした」というのは2歳の男の子のママMさんのケース。街選びは自分のライフスタイルに直結する問題だけに、実は一番の決め手になりやすいのかもしれません。
もちろん、子どもが小学校以上のママたちにとっては「子どもを転校させたくない=子供の通う学校の学区内で」は最重要条件です。しかし、小学校入学前でも、子どもを通じて、すでに地域にコミュニティができつつあるので、「今住んでいるエリアの近く」が最重要条件になりやすいよう。
現在、マンション購入を検討中の、2歳の女の子のママAさんは、「公園や図書館も近く、スーパーも商店街もある、この街にすっかり愛着がわいていて・・・。私も娘も地元に友達がたくさんママ友もたくさんできたので、今、同じエリアで探しています。でも夫はもっと郊外でいいから、もっと広い家がいいって言ってるんです」と、頭を悩ませているようです。
「今住んでいるエリアから離れたくない」――この気持ちは、地元や家で過ごす時間の少ない夫には、理解されにくいかもしれません。
逆に、購入時には「あきらめた項目」は何でしょうか?
(1)角部屋 (2)収納が多い (3)実家からの距離が近い (4)オール電化マンション (5)部屋の階数 と続きます。(表3参照)
実家からの近さを除くと、主に物件の特長。「あればうれしい」といった+α的な要素が多いようです。
そもそも角部屋はマンション全体からすれば数は少なく、オール電化マンションも、決して多いとはいえないので、立地や価格面の条件を優先すればあきらめがつくのもうなづけます。
ただし、こうした条件は妥協しやすい条件だけに、「妥協したからといって相場がぐっと下がる」ことも期待できない要素ともいえます。逆に妥協しにくい「街」の条件を、思い切って広げてみると、価格や広さなど、ほかの条件はぴったりな物件と出合えることもあります。
「最初は当時賃貸で住んでいた街で探していましたが、もともとマンション自体が少ない地域なので、中古に広げても見つからず、ものは試しと、駅が2つ先のとなりの区で見つけた物件に一目ぼれ」という6歳の女の子のママも。マンション探しが長期化している人こそ、少し範囲を広げて街選びをしてみては?
※このアンケートでは、生活環境=商業、公共、医療施設、教育環境=学校、通学の便利さ、周辺環境=街並み、公園、自然を示しています