シャロン・ロックハートは1990年代初頭より、映像と写真をメディアとした作品を制作・発表しています。現在はロサンゼルスを拠点に、世界各国で個展を開催するほか、今年はシドニービエンナーレ2006に新作を出品するなど、精力的に発表を行っています。
ロックハートは1996年に招へいアーティストとして、茨城県守谷市を拠点とするアーティスト・イン・レジデンスプログラムであるアーカスプロジェクトに参加しました。滞在中に彼女が制作したフィルム作品≪GOSHOGAOKA≫は、守谷市立御所ヶ丘中学校の女子バスケットボール部の練習風景と体育館の空間構成に着想を得たものです。本作品には女子バスケットボール部員が出演し、フランクフルトバレエ団のスティーブン・ギャロウェイ氏(当時)の振り付けのもと、固定カメラの前で次々と日々の練習を披露していきます。思春期の少女の移ろいやすい心の動きや内的な体験を緻密な構図で視覚化したこの作品は、その後世界各地の美術館や映画祭で上映され、高い評価を得てきました。
横浜美術館は本作品を2000年にコレクションとして収蔵しました。今回の上映会では、当館のコレクション展示としてこの≪GOSHOGAOKA≫を上映するほか、アーカスプロジェクトでの彼女の制作風景を記録した≪GOSHOGAOKA≫メイキングビデオをみながら、アーカスプロジェクトのディレクターと当館学芸員がトークを行います。
アーティストの制作を支援するレジデンスと、作品を収蔵しその展示を行う美術館。本プログラムはアーティストをめぐる創造と発表の場をつなぐ試みの第一弾となります。レジデンスと美術館というそれぞれの立場からアーティストの活動の支援について考えます。