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いまさらだけど都知事選が終了した。舛添要一氏の圧勝だった。徒然なるままに振り返ろう。ドクター中松氏を超えた、家入一真氏のことを中心に。

最初に断っておくが、私は、政治に詳しくない。もっと言うと、関心がないと言ってもいい。

いや、幼い頃には強烈に関心を持っていて、私も街宣車の上に立って演説をする人になりたいなと思ったり、幼少期には「常見陽平」というタスキをかけて、近所で選挙ごっこをしたことがあったりはするのだが。北海道か札幌市か国立市か墨田区ならいつか政治の仕事に関わりたいなと思ったりするのだが。せっかくもらった選挙権であるし、最近は必ず投票には行くようにしている。今回ももちろん行った。

細川護煕氏も宇都宮けんじ氏も田母神俊雄氏もそれぞれ票を集めたが、勝てなかった。「ぜんぶ雪のせいだ」とか、候補者の一本化ができなかったとか、脱原発が争点にならなかったとか、男性だらけの選挙だったとか、そもそも東京都知事選というシステム自体どうよとか、選挙権をどこまで広げるか狭めるかとか、もろもろ論点はあるのだけど、結果は結果である。舛添要一氏が圧勝した。それだけだ。

ネット選挙解禁になろうと、政権が変わろうと「選挙は、選挙だ」と再認識した次第である。つまり、投票のルールだとか、支持母体・支持層だとか、政策だとか、論点だとか、本人の知名度(特にマスメディアに露出しているかどうか)、天候だとか、時代の空気だとかがもろもろ影響している。もちろん、法に触れることはやってはいけないが、その前提で、心技体を総動員して臨むのが選挙である。戦略、戦術、戦闘、すべてがものを言う。勝ったら喜び、負けたら悔しがる。これが選挙の流儀だ。

「当選には届きませんでしたが、◯万人の支持を得ることができました」なんていう候補者は大嫌いだ。負けたら悔しがれ。反省しろ。支持を集めつつも、力が及ばなかったことをまず支持者に御礼と反省を伝えるべきである。

政治に関してあまり発言しない私だけど、今回は津田大介氏からお声がけ頂き、分不相応だとはわかっていつつも、ポリタスに寄稿した。

家入一真という「実験」 希望の都市の絶望の若者ネット選挙
http://politas.jp/articles/113

この記事だ。

家入一真氏に対する期待と、曖昧な不安を綴っている。

いかにも若者代表風に登場した彼。30代の候補者が出たのは良いことだと思う。なんせ、オリンピックまでに死にそうな人だらけだったから。ただ、率直なところ、力不足だっただろう。投票結果は、それを表している。「88,936票とったのだから、大健闘だ」と言っている方は、その発言の撤回を検討した方がいい。こういうのを「惨敗」という。4位の田母神俊雄氏の約7分の1、1位の舛添要一氏の約24分の1しか獲得できなかったのだから。ドクター中松やマック赤坂に勝つことがゴールだったのだろうか。

率直に、もっと真面目に戦えと言いたい。「全部、雪のせいだ」では説明できない惨敗ぶりである。

「選挙がスタートする数日前に立候補を決めた」ことが言い訳や美談として語られているようだが、そんなことは有権者にとっては関係ない話であり、さらに言うならば、こんなに大事なことをそんなに短期間で決めたのかと言いたくなる。

期間中に政策をみんなで決めるという手法が話題になったが、率直にこれは衆愚化そのものであり、素人であることを露呈しているだけだろう。NPOレベルでも普段から政策の立案や提言をしているところはいくらでもある(単にホームページに掲載しているというレベルも含めだし、実現性の低いものも多いが)。それに対して「面白い」なんて感想もあったが、政策は面白さではなく、実効性、実現可能性などで考えるべきである。

何より、気持ち悪かったのは「東京をぼくらの街に」というキャッチコピーと、実態とのズレである。

まず、なぜ「私たち」ではなく「ぼくら」という男性視点のメッセージになったのかを聞きたい。また、「ぼくら」とは誰なのだろう。その選挙運動のあり方などをみても、要するに家入クラスタで何かやっているという程度のイメージしか醸しだせていなかったということである。

選挙が終わった後に、インターネッ党なるものの方針が出ていたが、賛同人などをみても、一部のクラスタで盛り上がっているだけなのねという臭いがぷんぷんして、全然「ぼくら」という感じがしないのだ。閉鎖的、限定的な「ぼくら」という感じだ。これって本当に「ぼくら」なのだろうか。

世の中はいろんな人で動いている。実際、若者の声が届きにくい国ではある。ただ、世の中は若者だけで動いていないのも事実なわけで。世代と世代、階層と階層をつなぐ努力が必要なわけだ。

選挙直後に、宇野常寛氏率いるPLANETS主催のイベントが発表されていたが、家入氏主催ではないとはいえ、やはり本当に勝つ気あったのかと思ってしまう。しかも、何度も言うが、家入氏主催イベントではないとはいえ、閉鎖的な「ぼくら」という感じがしてならない。

「ぼくら」とは今のところ誰で、これからどう広げるのか、丁寧な説明が必要である。少なくとも伝わっていないし、閉鎖的なイメージしかない。もちろん、これは広げればいいというものでもない。

最後に、家入一真氏陣営から、選挙開始時に「対談しませんか」という依頼があり、OKをしたのに、選挙期間中は音信不通になったことをお伝えしておこう。選挙終了後に、流れましたという連絡があったが。まあ、彼にとってメリットがなかったからだろうけど。

また、各区長選に候補を出すと言っているが、「名刺に足立区と書かないように」とセルフブランディングテクを披露した安藤美冬氏が賛同人に名を連ねている以上、足立区長候補を擁立するときには、ちゃんと釈明するように。

私の居住地、及び国立市、札幌市に候補を出すなら、今回のレベルの方針、取り組みで出てきたのなら、その時は、さすがに、私も、考えよう。だいたい、区長選を、ナメないで頂きたい。自治体の議会には、それこそ20代から長年取り組んでいる熱い若手議員がたくさんいるわけで。彼らの熱と頭脳をバカにしてはいけない。

というわけで、「ぼくら」って誰なんだということの素朴な疑問、気持ち悪さを書き綴った次第である。