住まいの雑学
55
SUUMOジャーナル ピックアップ
2012年12月22日 (土)

2つの居住空間を行き来する!? 話題の「マルチハビテーション」とは?

2つの居住空間を行き来する!? 話題のマルチハビテーションって?
Photo: Polka Dot Images / thinkstock

マルチハビテーションという言葉をご存じだろうか? マルチ(「多様な」を意味する複合辞)とハビテーション(「住居」を意味する名詞)を組み合わせた造語で、“複数の居住空間を行き来しながら生活するライフスタイル”のことを意味する。

昨今、このマルチハビテーションを選択する人が増えているという。その魅力はどこにあるのだろうか? All aboutで旅行ガイドを務め、マルチハビテーションに詳しい千葉千枝子さんに話を伺った。

「自らの本質に立ち返ったり、自然との共生を求め、マルチハビテーションを選択する人が増えてきています。平日は都内で一生懸命働き、週末には海が見えるリゾートマンションや菜園付きのクラインガルテンでスローライフを満喫する……。そんなメリハリのある生活を送ることで、暮らしの『質』を高めることができます」

確かに、仕事とプライベートの間に物理的な距離を設ければ、生活にメリハリが生まれるのは自然な話。しかし、拠点を2つ持つことでかさむ費用や、移動する手間など、マルチハビテーションを実施するにはいくつかの困難が伴うはずだ。このような困難がありながらも、なぜマルチハビテーションは広がりつつあるのだろうか?

「日本が成熟国家となりライフスタイルが多様化したことで、先に成熟した欧州のスローライフを見習う人が増えているのです。また、インターネットの普及によって、田舎にいながら都会と同じ質・量の仕事、もしくはそれ以上の力を発揮できる時代になったことも一因ですね」

また、こうした都心から地方に出向くスタイルとは逆に、地方在住者が都会に小さなワンルームなどを持つ傾向も見られるという。では、マルチハビテーションを行ううえで注意すべき点は?

「まず物件が安いからといってすぐに買わないこと。所有すれば固定資産税や維持費がかかるので、それが負担になってしまうことも少なくありません。賃貸や長期滞在からはじめると良いでしょう。また、現在の生活の核となる場所からあまり遠すぎる場所を選ばないことも重要です。遠すぎると行くこと自体が億劫になり、通う頻度が減ってしまう可能性があります。住んでいる場所から車で2時間圏内を目安にしてください」

マルチハビテーションの基本は暮らしの質を高めることにある。無理に2つの拠点をつくって精神的に追いつめられては本末転倒。マルチハビテーションを試みたい人は、自分の理想にあったスタイルを明確にした上で、それに合う無理のない計画を練るのが必要なようだ。

前の記事 喫茶店併設駅から秘境駅まで、日本には3670の「無人駅」が存在
次の記事 逆さ箸は本当はダメ!意外と知らない、鍋パーティーの基本的マナー
SUUMOで住まいを探してみよう