戦後70年となる2015年、皇后・美智子さま(79才)はパラオなど太平洋の島嶼国を訪問する予定を検討している。
パラオをはじめとするマーシャル諸島やミクロネシア連邦は、第一次世界大戦で占領した日本が、終戦までおよそ30年にわたって統治。多くの日本人が移り住み、「南洋庁」が置かれ、パラオは太平洋戦争での軍の拠点となった。
しかし、終戦前年、アメリカ軍の侵攻を受けて、パラオではペリリュー島など南部の2つの島で激しい地上戦となり、日本軍は全滅、1万1000人が亡くなった。そしてパラオ、マーシャル、ミクロネシアの3か国で犠牲となった日本人は軍人だけでも4万6000人を超すといわれている。
皇室記者はこう話す。
「2005年にサイパンを訪問された際も、両陛下はパラオを訪問されたい意向をお持ちでした。しかし、パラオはインフラも整備されてなく、政府専用機の離着陸が難しかったり、ホテルも相応のものがなく、警備上の問題もクリアできなかったため、見送られたわけです。今回もインフラ面などが整備されたわけではないですが、両陛下の“今度はどうしても”という強いご意向によって、パラオ訪問に向けて宮内庁も政府も動き出したわけです」
『戦なき世を歩みきて思ひ出づかの難き日を生きし人々』
かつて陛下は、戦争の苦難に思いを馳せられ、こんな歌を詠まれたことがあった。皇室ジャーナリスト神田秀一氏はこう語る。
「両陛下にとって“祈りの旅”は、何事にも代え難い使命なのでしょう。たとえ一度訪問されたからといっても、それだけですべてが解決するわけではないとお考えなのだと思います。ですから、“終わりはない”わけです。どんなにご体調が悪くても、最後まで続けられる強い覚悟がおありなんです」
“皇室は祈りでありたい”――その思いを胸に刻まれ、陛下を支えてこられた美智子さま。両陛下の旅はまだまだ終わらない。
※女性セブン2014年7月10日号