今年もあと少しだが、お正月は単なる新年のお祝いではなく、もともと祖先であり豊穣をつかさどる歳神様(としがみさま)を家に迎える行事だ。日本の伝統行事が目白押しのお正月、知っているようで知らないならわしや豆知識を紹介しよう。
門松は歳神様を迎える目印になるもので、「松の内」が終わる1月7日まで門前や玄関に飾っておく。「松の内」の松は門松の松を指し、門松を飾っておく期間をいう。しめ縄は歳神様を迎えるための魔除けの役目がある。門松やしめ飾りは、小正月の1月15日ごろに行われる「どんど焼き(どんと焼き、左義長ともいう)」といわれる火祭りで焼く。また、鏡餅は歳神様を迎える象徴として1月11日の鏡開きまで飾り、鏡開きの日に下げ、お汁粉にして食べる。
古くは大晦日から神社で年籠り(としごもり、寝ずにこもること)をして初詣をするのがならわしだった。現在は除夜の鐘を聞いてから家を出たり、元旦の祝いの膳のあとに出かけたり、人出が落ち着いてからとさまざま。以前、初詣は元旦だけだったが、今は「松の内」までに行けばいいといわれる。「松の内」とは、松飾り(門松)を飾っておく期間のことで、一般的には1月7日までだが地域により、1月15日までのところもある。
お年玉は、昔は歳神様に供えたおもちを分けたのが始まりで、歳神様から魂を授かる意味の「御年魂」が「御年玉」となった。本来、お年玉は目上から目下の者に渡すもので、子どもや親戚、親しい人の子どもに渡す。上司の子どもや、子どもが親に渡すことはない。お年玉をあげるとき、お金を裸のまま渡すのは失礼なので、ポチ袋に新札を入れて、親の前で渡すこと。
鏡餅は、歳神様に家の主たる場所である床の間か玄関に来ていただくように、という意味で大きい鏡餅を床の間か玄関に備える。仏壇や神棚にはそれよりも小さな鏡餅、キッチンや子どもの勉強机や家族の仕事机など、家の中の大切な場所に供える。床の間がない家も増えているが、床の間の代わりに家の中心にある場所、リビングやダイニングの机や棚に飾るとよい。古来より、歳神様は家の中の各所に分霊されると信じられてきたので、生活に必要な「火」や「水」まわりに供えたり、トイレも含むすべての部屋に鏡餅をお供えする風習もある。
しめ縄は神聖な場所を示すため、門や玄関、神棚などに飾る。また、それぞれの部屋のほか、キッチン、トイレ、自家用車の前に取り付ける。しめ飾り(しめ縄でつくった飾り)を簡略化した輪飾りは、火の神であるキッチン、水の神である水道の蛇口、手洗いの裏口などに飾る。
正月飾りの形、しまう時期、飾る場所などは地域によって多少違う。気持ちも新たに迎える新年、お正月行事のならわしや意味を知りキチンと行うことで、健康で幸せな一年を過ごせそうだ。