(株)リクルートは「2011年首都圏新築マンション契約者動向調査」及び「2011年関西圏新築マンション契約者動向調査」の結果を発表した。これらによると、新築マンション購入者の自己資金(頭金)は2年連続で増加しており、資金贈与を受けた場合では、シングルとシニアカップルで贈与額が多額になることが分かった。
(株)リクルートが実施した調査は、2011年中に新築マンションの購入契約をした人を対象に、首都圏(集計数3746件)と関西圏(集計数1607件)で郵送調査を実施したもの。
新築マンションの平均購入価格は、首都圏で4065万円、関西圏で3321万円とほぼ横ばい。首都圏では、全体の38%を占める東京23区(平均価格4577万円)が平均価格を押し上げる傾向にある。ボリュームゾーンは首都圏で3000万円以上4000万円未満、関西圏で2500万円以上3500万円未満の価格帯となった。
一方、自己資金(頭金)の平均額はいずれも2年連続で増加しており、首都圏で1050万円(前年から54万円増)、関西圏で886万円(前年から26万円増)。いずれも自己資金が少ない(200万円未満)人が2割以上いるが、1000万円以上という人も3割以上と多かった。
ライフステージ別にみると、自己資金の平均額が高いのは、シングル世帯(首都圏1129万円、関西圏1037万円)とシニアカップル※1(首都圏3145万円、関西圏2335万円)。資金贈与を受けた人数は、夫婦のみ世帯※2や子どもあり世帯に比べて少ないのだが、贈与を受けた場合の平均額は、シングル世帯(首都圏880万円、関西圏808万円)とシニアカップル(首都圏1906万円、関西圏1333万円)では多額になる傾向が見られた。
※1 世帯主年齢が50歳以上の夫婦のみ世帯
※2 シニアカップルを除く
まだ収入が少ない若年層が多い「夫婦のみ世帯」や教育費の負担が重くなる「子どもあり世帯」のほうが、親からの贈与に頼る人数は多いのだが、「シングル」や「シニア」といった“ダブルS”層が親から多額の贈与を引き出せるのはなぜだろう?
世帯主の年齢が50歳を超えるシニアは、定年後を見据えて多額の住宅ローンを借りず、自己資金で購入する傾向が強くなる。また、親の介護が身近な問題となってくるので、親との関係性や相続なども視野に入れ、親から多額の贈与を受けるという決断がしやすいという背景がある。
また、シングルの場合は、共働き世帯のように夫婦でリスクを分散させることができない上、ライフステージの変化などでマンションを売却せざるを得なくなる可能性も高いので、これらのリスクを軽減するためには、住宅ローンの借入額を抑えることが重要なポイントとなる。親子間の関係性も強いままなので、貯蓄不足で自己資金の捻出が難しい場合は、親に甘えるというケースが多くなるのだろう。
今回の調査結果について、(株)リクルートSUUMO編集長の池本洋一氏は次のように分析している。「自己資金については、シニア層では年齢が高く貯蓄も多いことに加えて、持ち家を売却した資金があることが考えられます。また、シングル層では特に、年齢が高い女性の自己資金が高く、将来や老後のために貯蓄を続けていたのではないでしょうか。贈与については、前住居が『親族所有の住宅』が多く、同居の親族が貯めていてくれたという背景が伺えます」
(株)リクルートの調査結果
首都圏:http://www.recruit.jp/news_data/old/2012/03/20120306_ 12617/index.html
関西圏:http://www.recruit.jp/news_data/old/2012/03/20120306_ 12618/index.html