自由民主党・公明党が決定した2014年度の「税制改正大綱」が公表された。そのなかで、住宅に関する税制を取り上げて見ていくことにしよう。
消費税増税による影響の緩和策(住宅ローン控除の拡充等)については、既に2013年度の税制改正大綱に盛り込まれたが、2014年度の税制改正大綱では、期限切れを迎える住宅優遇税制の延長をすることで、消費税増税後の住宅取得の落ち込みを回避しようとしている。
期限が延長される主な優遇税制は、以下の通り。
○認定長期優良住宅にかかわる特例措置
長期優良住宅に認定された住宅を取得した場合、所有権保存登記・所有権移転登記の税率を軽減し、不動産取得税の控除額を拡大することに加え、上記の新築住宅にかかわる固定資産税の減額措置(1/2減額)を一戸建ての場合は5年間、マンションの場合は7年間にする措置を2年間延長(2016年3月31日まで)する
○認定低炭素住宅にかかわる特例措置
低炭素住宅に認定された住宅を取得した場合、所有権保存登記・所有権移転登記の税率を軽減する措置を2年間(2016年3月31日まで)延長する
○居住用財産の買換え等にかかわる特例措置(譲渡益、譲渡損とも)
マイホームの買い替えをして、売却で利益が出た場合、損失が出た場合の次の特例措置を2年間(2015年12月31日まで)延長する
・マイホームを買い替えた場合、売却による利益に対する課税を将来に繰り延べる(将来売却したときに課税)制度。ただし、適用要件である売却価格については、1億5000万円から1億円に引き下げられる。
・マイホームを買い替えた場合、売却による損失を給与所得などから控除でき、控除しきれない分も最長3年間にわたって控除できる措置
・マイホームを売却して、残っている住宅ローンの額を下回る額でしか売れなかった場合、その損失を給与所得などから控除でき、控除しきれない分も最長3年間にわたって控除できる措置
新たな住宅優遇税制として注目される点は、中古住宅流通・リフォーム市場の拡大・活性化への特例だ。
まず、近年増加傾向にあるリノベーション物件に対する優遇措置。不動産会社が中古住宅を買い取って、質の向上を図る改修を行ったうえで販売する、いわゆるリノベーション物件を購入した場合、購入者に対する所有権移転登記の税率を軽減する措置が、2014年4月1日から2016年3月31日までの期限付きで創設された。
次に、中古住宅の優遇措置の適用要件の拡充。中古住宅を購入した際の優遇措置として「住宅ローン減税」「住宅取得資金の贈与税の非課税措置」「登録免許税の軽減税率」「不動産取得税の課税標準の特例措置」などの優遇税制がある。ただし、現行の耐震基準に適合していることなどの条件があり、これまでは適合している中古住宅を購入する場合でなければ優遇措置が受けられなかった。
しかし、購入した中古住宅が耐震基準に適合するように耐震改修を行った場合は、2014年4月1日以降に取得する住宅で、上記の優遇措置が受けられるようになる。築年の古い低価格な住宅を購入し、フルリフォームしてから入居する人が増えてきているものの、購入時点で耐震基準を満たしていなかったという理由で、住宅ローン減税などの優遇措置が受けられないことが、阻害要因になっていると判断してのことだ。
ほかにも、構造耐力が不足している老朽化マンションの建て替えを促進するために、建て替え決議反対者が組合に売り渡す際や組合が建て替え事業を行う手続きなどで、特例を設けることなども盛り込まれている。
与党の税制改正大綱は、年明けの国会の審議を経ることになる。ねじれが解消し与党が多数を占める国会では、おおむね大綱通りに決定すると考えられる。今後も、2014年度の税制改正に注視したい。