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「さとり世代」を一流のビジネスマンに育てる育成術

カテゴリ:
ビジネス

「さとり世代」を育てる3つのステップ

ここ最近では、「ゆとり世代」ならぬ「さとり世代」という言葉をよく聞くようになりました。「さとり世代」とは、10歳代から20歳代前半の若者を指す言葉として登場しました。一般的に言われる「さとり世代」の傾向としては、次のようなものがあります。

・車やブランド品などの物欲がない
・お金への執着がなく、昇進や昇格などに興味がない
・お酒を飲まない、パチンコなどの賭け事をしない
・高い夢や目標を追わないので覇気がないように映る
・主な情報源はインターネットによる
・読書が好きで物知りな一面もある

若手社員の育成は企業にとって長期的重要課題のため、いくら「さとり世代」と言われるような育成が困難な世代であっても、おろそかにするわけにはいきません。「一流」とは、さまざまな考え方がありますが、「問題発見から問題解決までの全てのプロセスを、自分で考え、自らの意思で決断し、自らが最終責任をとれる人材」というように定義付けし、「さとり世代」を一流のビジネスマンに育成する3つのステップをお伝えします。

1:本音を言いやすい環境をつくる
2:貢献感を持たせ、小さな達成感を積み上げる
3:自主性が出てきたら、徐々に大きな責任を与える

ステップ1:本音を言いやすい環境をつくる

「さとり世代」は、「主体的に行動する」傾向が少ないため、「能力が低い」という印象を受けてしまいますが、実はそうではありません。多くの「さとり世代」の若者は、物事を深く考えています。それが表に現れないのは、「どうせ言っても聞いてくれない」という諦めがあるのです。「さとり世代」を育成するためには、まずは心の壁を取り払ってあげる必要があります。「さとり世代」に対する固定観念を捨て去り、真摯にその意見に耳を傾け、否定することなく全てを受け入れてあげます。そして、徐々に「この上司は自分の意見を受け入れてくれる」という認識を与えることで、信頼関係を築いていくのです。

ステップ2:貢献感を持たせ、小さな達成感を積み上げる

「さとり世代」には、「納得しないと動かない」という特徴があります。欲がないため、昇進や昇格による収入アップなどはモチベーションの源泉にはなりません。しかし、自分の利益のためではなく誰かのために働きたいという、漠然とした思いは持っています。売上や利益などの自社都合の目標に対してはモチベーションが上がりませんが、社会貢献や地域貢献、社会的弱者の支援などに対しては、強い関心を示す傾向があります。したがって、「さとり世代」の若手社員に対しては、「自分の仕事にどんな意味があるのか」「自分の仕事が誰の役に立っているのか」「わが社の事業がどのように社会に貢献しているのか」という「仕事の存在理由」を徹底的に伝えていくことが必要です。そのことによって、自分の仕事に対する「貢献感」を持たせることが非常に重要です。一昔前のような「若いうちは何も考えずに、ただ懸命に仕事すれば良い」という考え方は「さとり世代」には全く通用しません。

自分の仕事が人の役に立っているという認識を与えることができれば、次は仕事の中で「小さな達成感」をできる限り数多く与えることです。「さとり世代」の若者は、基本的には自分に自信を持てていません。表面上は自信を持っているように見える場合があったとしても、何かを成し遂げたことによる自信ではなく、何かに挑戦して失敗したという経験がないことによる、「根拠のない自信」であるケースがほとんどです。したがって、小さな達成感の積み重ねによって、本物の自信を付けさせてあげる必要があります。上司としては物足りない、低い目標設定であっても、本人が申告してきた目標を尊重し、その目標が達成できた時には力いっぱい褒めてあげるのです。そして、失敗した時にも責めることはせず、一緒に失敗した原因と改善策を考えてあげるのです。そうすることで、徐々にではありますが「自主性」が芽生えてきます。自分で考え、自らの意思で決断する土壌が生まれてくるのです。

ステップ3:自主性が出てきたら、徐々に大きな責任を与える

自主性が芽生え始めたら、徐々に「責任」を重くしていきます。大きな責任を自ら引き受けられるようになれば、人材は自ずと育っていきます。なぜなら、失敗も成功も自分の成長の糧にできるようになるからです。人材が本当に「一流」となるには、重い責任という「修羅場をくぐる」経験が必要不可欠です。

ここで誤解の無いようにしておきたいのは、「責任を与える」ことと「放任する」ことは全く違うということです。「放任」では、せっかく出てきた自主性の芽が摘まれてしまいます。実力より少し上の責任を与えて本人の自主性に任せつつ、放任することなく足りない部分はフォローするという、上司としての力量が問われる部分です。ここで重要になるのは、本人が「納得」しているかどうかです。上司に責任を「押し付けられた」と感じられるようでは、いくら大きな責任を任せたところで、「さとり世代」の若手社員は動きません。

本音が言える信頼関係を地道に醸成し、貢献感の持てる仕事で小さな達成感を与え続け、ようやく「責任を与える」というステージに立つことができます。3つのステップの順番が非常に重要になるのです。

?先入観を持ちすぎないことも大切

ただ、ある世代を一括りにしてしまうのは、乱暴だとも思っています。特に、若い世代に関しては、いつの時代も「理解不能」の対象にされてしまうものなのです。「最近の若者は…」というフレーズを、人類は遥か昔から使ってきました。古代ギリシャや紀元前の書簡にも、そのような記述があるそうです。つまり、どの時代にもジェネレーションギャップがあるのです。確かに「さとり世代」の特徴として挙げられた傾向を実際に感じることがあります。しかし一方では、起業家精神にあふれた意欲的な若者も少数ではありますが、存在しています。先入観を持たずに接することが大切です。

経営者と社員の生きがいづくりを支援する専門家

福留幸輔さん(生きがいラボ株式会社)

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