忘年会・新年会シーズン真っ盛りだ。お酒がつきものだが、真偽不明の伝説も少なくない。そこで科学的な視点でその仕組みを究明してみた。まず基本的なメカニズムとしては、摂取されたアルコールは主に肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)のはたらきによって酸化され、アセトアルデヒドになる。さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酸化されて酢酸となる。
酒が弱い部下を「訓練すれば強くなる!」と連れ回す上司。最近は減ったが、忘年会シーズンに見られる光景だ。
医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶氏が解説する。
「アルコールの分解にはADHのほかに、ミクロソームエタノール酸化系酵素(MEOS)のはたらきもあります。お酒を飲み続けてもADHのはたらきは変わりませんが、MEOSは増える傾向が見られ、処理しきれない部分を補完するようになるので、多少は飲めるようになります」
結局アセトアルデヒドを分解する酵素のはたらきは遺伝的に決まっているものなので、大きく変えることはできない。飲めない人への無理強いは禁物だ。
※SAPIO2104年1月号