これからの住まい・暮らし
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藤井 繁子
2013年3月28日 (木)

名建築家たちの提案が一堂に!―HOUSE VISION展― Part.1

会場エントランスも杉の角材を用いた隈研吾の設計

「家」をさまざまな産業の交差点と考え、住宅産業だけでなく異業種を巻き込んで才能あるクリエイターたちとコラボレーション展示するイベント[HOUSE VISION 2013 東京展]が開催された。お台場・「青海」駅前の特設会場に“新しい常識で家をつくろう”というビジョンのもと、これからの「家」の可能性を提案したパビリオンが7つ登場。全館を2部にわたってレポートします!

■隈研吾による会場設計、杉の角材が波打つ美しい導線に

会場の全体構成を担当したのは建築家の隈研吾、「日本の住宅は他の産業同様、戦後これまで邁進してきた工業化社会の惰性のように感じる。今後、過去の延長に無い新たな取り組みによっては世界で戦える産業になりうる」と、展示会の意義を語った。

会場で使われたのは105㎜角の国産杉材(住友林業が調達・施工、終了後は東北復興用に再利用)。シンプルな角材を接合するだけで波打つような曲線をつくりだし、海に面した会場に木の香りを漂わせた。
素材感やシンプルな日本的美意識で五感に訴える空間設計は、さすが、世界で活躍する隈氏のデザインだ。

HOUSE VISION展

【画像1】隈氏をはじめクリエイタトークショーが毎日開催された

HOUSE VISION展

【画像2】入場ゲートの左のメインホールには蔦屋書店やトークイベントの会場がある

HOUSE VISION展

【画像3】展覧会ディレクター の原 研哉氏がメガホン片手に7パビリオンを案内してくれた

■1:伊東豊雄×LIXIL [住の先へ―懐かしい未来の家を考える]

トステム、INAXなど住宅建材5社の総合ブランドであるLIXILが建築家・伊東豊雄とコラボレーションした“懐かしい未来の家”。

自然を取り込み共存してゆく暮らし方、縁側や土間のある暮らしを取り戻そうという提案。囲炉裏端のような陶器のテーブルが玄関から続く土間にあり、奥には露天風の泡風呂も!

昔の日本にあった、開放的で人が集まりやすい空間と共に自然をいつも感じていられる事が住生活の豊かさなのかもしれない。

HOUSE VISION展

【画像4】広い土間の奥右手にはキッチン、手前には蔵があった

HOUSE VISION展

【画像5】このほどプリツカー賞を受賞した伊東氏も夕刻、会場入り

■2:藤本壮介×Honda [移動とエネルギーの家]

住宅産業以外からも、これからの[家]について提案。“自由な移動”を実現することがミッションのHondaが、建築家・藤本壮介と共に住空間における「エネルギーと移動」の循環を表現した。

移動システムや生活に必要なエネルギーは太陽光発電に加えて、ガスのコージェネレーションユニットにより熱を有効利用するのがホンダスマートホームシステム。

HOUSE VISION展

【画像6】「UNI-CUB」に乗って室内を移動する。バリアフリーの先にある生活が具現化

HOUSE VISION展

【画像7】「ASIMO」で有名なHondaのロボット技術、盆栽を中腰で楽しむ事もできる歩行アシストは高齢者などが階段や坂道を歩くのも助ける

■3:未来生活研究×山本理顕・末光弘和・仲 俊治 [地域社会圏 ―シェアリング・コミュニティ]

建築家・山本理顕らが唱える「地域社会圏主義」を五分の一の模型で表現し展示した「地域社会圏モデル」。異業種企業が集まる「未来生活研究会」と共に、シェアリング・コミュニティの理想、「共有」の豊かさを提案した。

HOUSE VISION展

【画像8】未来の集合住宅では、共用施設があちこちに点在していて、外の施設が棟内に取り込まれたイメージ

続いて、Part.2記事はこちら→「「新しい常識で家をつくろう」―HOUSE VISION展― Part.2

●未来生活研究会参加企業
メックecoライフ(三菱地所グループ)、三井不動産レジデンシャル、野村不動産、ミサワホーム、東芝、ローム、KDDI研究所、日本ペイント、昭和飛行機工業
●HOUSE VISION展
会期:2013年3月2日(土)~24日(日)
HP:http://house-vision.jp
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