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日本で観測のPM2.5 中国由来の占める割合は圧倒的に大きい

 大気汚染物質が中国から海を越えて飛来している。大気汚染物質の中でも特に健康被害が懸念されているのがPM2.5(粒径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質)だ。北京を包むスモッグに多く含まれており、それが海を渡って日本へ飛来している。

 大気物理学者の岩坂泰信・名古屋大学名誉教授は中国の汚染が日本に及ぼす影響は大きいと指摘する。

「日本に飛来する途中、つまり海上での観測データがないので中国由来が何割で国内由来が何割とはハッキリいえない。ただ、仮に中国上空と日本上空の大気の状態がそれほど変わらず、中国から日本に向かって風が吹くとすると、日本で観測されるPM2.5のうち、中国由来の占める割合は圧倒的に大きいと言うことはできる」

 長崎から西へ100キロメートルの東シナ海に浮かぶ九州最西端の五島列島福江島ではPM2.5が高い水準で頻繁に観測され、日本中から研究者が集うほどだ。

 大気化学が専門の畠山史郎・東京農工大学教授が解説する。「本来、離島の福江島は空気がきれいなはずだが、PM2.5の濃度が100マイクログラムを超える時がある。そして汚染物質は数時間後には190キロメートル離れた福岡市で観測される。中国から飛来していることは間違いない。

 越境大気汚染物質が中国から日本に流れ込みやすい季節は、偏西風が最も強く吹く冬と思われがちだが、実際には低気圧や前線が日本の南岸を通過したり、大陸から移動性高気圧が張り出してきたりする春や秋に多いことが分かっている。低気圧や高気圧の縁を吹く風に乗ってやってくる」

※SAPIO2013年5月号

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