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2013年6月27日 (木)

金沢市のコミュニティバス「マメバス」、乗るためにはある条件が…?

金沢大学とその周辺の住宅地を回り、主に金沢大学の学生が利用しているという「マメバス」(写真提供/苗加不動産)
写真提供/苗加不動産

石川県金沢市には、とあるユニークなコミュニティバスが走っている。そのバスの名は「マメバス」。金沢大学とその周辺の住宅地を回り、主に金沢大学の学生が利用しているという。どこがユニークなのかというと、運営会社が地元の不動産会社なのだ。マメバスを運行する苗加(のうか)不動産の担当者に、マメバスを始めた経緯や周囲の反応について伺った。

「金沢は天気がとても不安定で、雨が多く、また冬には雪が積もります。そのため、学生の多くは、自転車などではなくバスを利用して通学するのですが、金沢大学周辺には、路線バスが走っていないエリアが一部ありました。ただ、交通の便が悪くても、周辺には商店が多くとても住みやすい。そこで、唯一の欠点である交通の便の悪さを改善すべく、我々がバスを運行し始めたのです。実際に運行を始めたのは2011年のことです」

開始するにあたり、問題点もあったという。

「もともと、大学には路線バスが乗り入れていました。路線バスを運行する北陸鉄道さんは、大学と提携して、大学に通う学生向けに割安の定期券を発売していますので、我々がバスを運行する事で路線バスの利用客を取る事になっては困ると、大学側から釘を刺されてしまいました。そのため、当初はもっと広い運行ルートを考えていたんですが、路線バスが走っていないエリアのみに限って運行することにした、という経緯があります」

なお、バスを利用できるのは、こちらの不動産会社が扱う物件の入居者のみで、運賃はなんと無料。利用者の大半は金沢大学の学生だが、一部、大学職員も利用しているそうだ。運行時間は、朝、通学時間にあわせて4便と、夕方、下校時間にあわせて4便(2013年6月現在)。今では、80人乗りのバスがほぼ満員状態なのだという。また、大学祭やイベントにあわせた臨時便も運行していて、この際は誰でも無料で乗ることができる。

「バスを利用している方からは、『便利になってよかった』という喜びの声をいただいていますし、最近では、『バスが混んでいるのでもっと便を増やしてほしい』という声もあります。近隣の住民の方から『バスを利用したいがどうすればいいか』という問い合わせをいただくこともありますよ。所有しているバスが現在1台しかなく、バスの運用経費を全て自社で負担していることもあり、新しくバスを購入するのは資金面で難しいのが現状です。今後、もし運行できるバスの台数が増えれば、便数を増やしたり、別の大学と近隣地域を結ぶ新しいルートを開拓したりしたい、と考えています」

こういった異業種の企業が自力でバスを運用するには、資金面などで限界がある。しかし、コミュニティバスの発展型として、こういった取り組みが広がることで、地域活性化にも一役買いそうだ。

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