住まいの雑学
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2012年9月5日 (水)

日本の発電電力量の4分の1をまかなう石炭。利用価値を今一度考える

日本の発電電力量の4分の1をまかなう石炭。利用価値を今一度考える
Photo: iStockphoto / thinkstock

9月5日は石炭の日。1992年通商産業省(現在の経済産業省)の呼びかけにより日本鉄鋼連盟、電気事業連合会、日本石炭協会など石炭関係8団体で構成するクリーン・コール・デー実行委員会が、「ク(9)リーン コ(5)ール」の語呂合わせから制定した。

石炭は古くから世界中で燃料として使われてきた。とくに産業革命以後20世紀初頭まで最重要の燃料として、また化学工業や都市ガスの原料として「黒ダイヤ」「黒の宝石」などと呼ばれ重宝されていた。日本でも明治維新以後、石炭は燃料や工業原料(特に製鉄業)として使用量が増大。第二次世界大戦後は、疲弊した国内産業の立て直しのために国策として石炭の増産を実施し戦後の復興を遂げた。

そんな石炭だが、エコが叫ばれる現代において、どのような役目を果たしているのだろうか。今回は石炭の日にちなんで、現代の日本の石炭事情についてをご紹介したい。

■石炭の利用方法
蒸気ボイラーの燃料として発電・製鉄所・各種工場などで現在も利用されている。ちなみに途上国では鉄道・船舶暖房や料理の煮炊きに使われる場合もあるとか。

■発電電力量の4分の1は石炭
LNG(天然ガス)を使った発電、原子力による発電に次ぐのが、石炭を利用した発電。日本の電力の4分の1は石炭でまかなわれている(2010年、電気事業連合会調べ)。

■日本の炭鉱は釧路炭鉱のみ
最盛期には800以上もあった炭鉱は、コスト面で外国産のものに太刀打ちできないなどの問題で1961年をピークに徐々に衰退。2002年以降は釧路炭鉱のみとなり、2007年度からは年間60万トン体制での採炭を続けている。

■石炭の利点
石炭は他の燃料に比べて埋蔵量が多く、石油のような一地域への偏在もない(石油は中東地区に70%以上が埋蔵)。さらに天然ガスも石油も数十年の埋蔵量しかないのに比べ、石炭は110年程度の採掘が可能と考えられている。また石炭による火力発電は、CO2排出の問題を除くと特別な技術的課題がない。このCO2排出の問題にしても、日本最大の卸電気事業者であるJ-POWERのホームページによると、日本の石炭火力の煙はきちんとした浄化処理を行い汚染物質の90%以上を除去しており、欧米と比べてもクリーンなレベルを誇っている、とのこと。

以上、現在の石炭を巡る状況をご紹介した。少々廃れつつある燃料かと思いきや、まだまだ日本の発展には欠かせない存在のようだ。石炭の日を機に、石炭の有用性についていま一度考えてみるのもいいかもしれない。

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