住まいの雑学
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榎並 紀行(やじろべえ)
2011年4月9日 (土)

「現役最高齢」の集合住宅は81歳!日本一のご長寿アパート&マンションは?

国土交通省によれば、2009年末時点での全国マンション総戸数は560万戸。そのうち建築後30年以上を経過したマンションは100万戸を数えるという。

こうした高経年マンションのなかには、コンクリートの老朽化によるひび割れや配管の腐食など、随所に危険因子を抱える物件も少なくない。
もちろん建て替え工事を行えば寿命は延びるが、集合住宅を建て替える場合、住民の5分の4の賛成が必要となる。それなりの費用がかさむ工事に二の足を踏む住人も多く、足並みが揃いにくいのが実情なのだとか。

そもそも日本の住宅は、欧米諸国に比べ寿命が短いといわれていた。十数年前に当時の総務庁が調べたデータによれば、日本の住宅は平均築30年で建て替えられるという。
確かに、アメリカの「築96年」、イギリスの「築141年」に比べ、かなり短いスパンで建物の更新が行われてきたのは事実のようだ。

だが、30年でガタがくる物件もあれば、築80年を超えてなお健在の物件もある。それが東京都台東区の「同潤会アパート 上野下アパートメント」だ。

1929年4月に建設された同アパートには1階に理容店や居酒屋、クリーニング店が入居。ちゃんと人も住んでいて、「現役」の集合住宅としては国内最高齢を誇る。
ちなみに「同潤会アパート」は1920~30年代にかけて東京・横浜の15か所に建てられたが、当時の建物が残っているのはここだけである。

さらに「日本最古の分譲マンション」といわれる「宮益坂アパート」(東京都渋谷区)や、同時期に建てられた民間初の分譲マンション「四谷コーポラス」(東京都新宿区)も、築60年を迎えようという今なお現役。
建物自体の耐久性もさることながら、住人の長きにわたる維持管理の努力が偲ばれる好例だ。

最近はマンションも長寿命化が叫ばれるようになってきた。100年、200年の居住を見据えた耐久性を誇るマンションも増えている。だが、いくらコンクリートの強度や工法技術が進化しようと、定期的なメンテナンスや修繕は欠かせない。

住民同士の協力なくして建物を長持ちさせることは不可能なのだ。

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