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小野 有理
2014年3月31日 (月)

「結露がないのでカビも生えず、隣人の音も聞こえない」想像以上の家とは

写真: iStock / thinkstock

前回「アレルギーの原因、カビを抑える家があるらしい。アレルギーでも快適な家」(https://suumo.jp/journal/2014/03/26/60046/)で、いかに高断熱・高気密な住宅が、アレルギー源のカビを抑えるのか専門家に取材した。では、実際の住み心地ってどんな感じなのだろう。実際に、賃貸住宅で高断熱・高気密な住宅に住んでいる人に、住んでみてどうですか?と聞いてみた。絶対に必要!と思っていたわけじゃないけど、住んでみたらやめられない。そんな声が聞こえてきました。

「住んでみないとこの良さは分からない。でも言葉にしづらいですね(笑)」

「住んでみて初めて、あ、こんないいトコロがいろいろあったんだな、と気づきました」と言うのはMさんご夫婦。1年前から高断熱・高気密の賃貸住宅に住み始めた。四季を一通り経験したことで気づくことも多かったよう。「夏は過ごしやすく、冬は暖かい。隣の人の音も全然聞こえません」と、1年住んでみての感想は良いこと尽くしだ。

取材でお伺いしたのは、3月と言えどまだまだ寒風吹きすさぶ日。出かける前の、筆者の自宅リビングの窓には、その日の朝も結露がたら〜りと発生していた。しかし、「この家に引越してから、まだ一度も結露を経験していませんね。前の家では、結露でカーテンにカビが生えることもあったのに」(妻)との発言。全国で大雪が降った2月の週も「窓が少し曇ったくらい」というから驚きだ。

確かに、取材に伺った日は、お昼過ぎにも関わらず冷たい風が吹いていたが、一歩部屋に入るとふんわり暖かい。てっきり暖房がついていると思いきや、「窓からの日差しで十分で」(妻)暖房はついていなかった。改めて、この住宅の心地良さを実感する。

今では住み心地の良さに満足している夫妻だが、実は、高断熱・高気密の住宅にこだわって、家探しをしていたわけではなかった。

「暖かい・涼しい、だけでなく、隣の人の音が聞こえない。これは狙い通りです」

二人が家探しのときにこだわっていたのは「遮音性」。「前は古いマンション住まい。隣の人が話している声が、内容は分からなくても聞こえてくるのが嫌で」(夫)と、少しでも遮音性の高い家を探すことにした。しかし、広告に「遮音性が高い」という文言が書かれているわけでもなく、お目当てを探すのに一苦労した。

そんな中、「鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートの住宅なら遮音性が高い」と聞いた。重点的にその構造の物件を探し始め、見つけたのが今の家だ。「隣の人がいないんじゃないか、と思うくらい静かです」(夫)、「大家さんが階下に住んでいるので、迷惑かけないか心配だったのですが、今は大丈夫かなと」(妻)というほど、周囲の音が聞こえにくい。

二人が住む家は、壁に断熱材がしっかり入り、窓も二重窓が採用された高断熱・高気密の住宅だ。高気密・高断熱は、外部との遮断性の話で、室内の間仕切り壁には関係ないのでは?と思いがちだが、隣の家との間仕切り壁にも「ヒートブリッジ(※)防止のため、断熱材が間仕切り壁に入り込んだり、気密も高いため、自然と遮音性が高まる」(慶應義塾大学理工学部 伊香賀教授)とのこと。

当初は周囲の音を気にしてた結果の入居だったが、今では、室温を一定に保つなど、住宅そのものの性能の良さにも気づいたご夫婦。「次を探すとしても、予算が許す限りこういう家に住みたい。だから、広告表示などにも『高断熱』とか書いてあると、探しやすくなっていいのにね」と答えてくれた。

※外壁と内壁の間にある柱・梁などが熱を伝える現象のこと

住み心地のいい家は、命を守る家でもある

高齢化した大家さんは、急激な温度差から血管破裂を引き起こす「ヒートショック」対策として、高断熱・高気密の住宅を建てることも。Mさん夫婦は、まさにこうした大家さんが建て替えた住宅に、意図せず入居したということだ。Mさん夫婦のような若い人には、冬も暖かく遮音性も良い「住み心地の良い家」だが、高齢の大家さんには「命を守る家」になる高断熱・高気密住宅。

Mさん夫婦が住んでいる住宅のオーナーさんにも話を伺うと、年配の方には若い人とは違うメリットがたくさん。その内容は「家中どこも暖かくて光熱費約4割ダウン 暖かい家は、命を守る家でもあった」(https://suumo.jp/journal/2014/03/24/59866/)でご覧いただきたい。

結露がないのでカビも生えない。隣の人の音も聞こえません。これは想像以上かも

【画像1】Mさん宅の窓ガラス。窓枠に顔を近づけてみると、分厚さがよく分かる。(写真撮影:小野有理)

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