「リノベEXPO」in名古屋にて、名古屋リノベーション黎明期を体感！

「新築戸建て文化」といわれてきた名古屋だが、対極ともいえる「中古リノベーション」はどのように捉えられているのか。10月15日、19日、20日に行われた「リノベーションEXPO」に行ってみた。

2日間限定の「リノベカフェ」では、名古屋会場だけの常設展示も

「リノベーションEXPO」を主催するのは、一般社団法人「リノベーション住宅推進協議会」。これまで定義があいまいだったリノベーションに対して、ユーザーが安心して選べるリノベーション住宅とは何かを考え、「優良なリノベーション」の統一規格を定めるなどの活動を行っている。

3日間あるうち、今回参加したのは2日間限定の「リノベカフェ」。これは、お茶しながらリノベーションに関するセミナーが聞けるという場で、オープンと同時に盛況。会場となった星ヶ丘の「デザインの間」内には、60㎡のマンションの一室を想定してリノベーションした「リノベーション・パビリオン」が常設展示され、“住む人の構想次第で「家」はどこまでも自由になる”、そんな一例が示されていた。この展示企画は、「リノベーション住宅推進協議会」としても名古屋が初の試みだという。

セミナートップバッターの、リノベる株式会社・南須原氏は、中古マンション×リノベーション「成功のための5つのポイント」をレクチャー。南須原氏によると、「名古屋のお客さまで、戸建てが買える資金力がありながら、中古マンションでしかできないことをしたい、とリノベーションを選ぶ方がみえます」とのこと。例えば、独身時代はリノベーションによる趣味重視の部屋を楽しみ、結婚後は売却や賃貸にすることを視野に入れるなど、資産として考える人も。保守的な名古屋でも、リノベーションによる自由度の高さを支持する層が現れているようだ。

【画像1】「デザインの間」内に展示された、出入り自由の「リノベーション・パビリオン」（写真撮影：リノベーション住宅推進協議会）

【画像2】パビリオン内にあるトイレのリフォーム案。「我が家のトイレは図書館？」がタイトル

今後成熟していく兆しあり、名古屋の中古リノベーション市場

19日の午後の部には、SUUMO編集長・池本洋一氏が登場。名古屋エリアで住み替えを検討する約500名の調査データで分析した、リアルな情報に注目が集まった。現在の名古屋では、これまで薄かった「都市部のマンションに暮らす」という選択肢が徐々に浸透。そしてこの5年間で、中古リノベーション住宅を「検討してもよい」という層が増加。さらに「一生住むため」から「資産として」のように、ユーザーの住まいへの意識も変化し始めている。

全国的に見ると、名古屋のリノベーションへの意識は高くはないが、それは言い換えれば「未成熟なマーケット」でもあるとのこと。認識が市場に反映されていない分、優良な中古物件を安価で手に入れられるチャンスでもあるのだ。

名古屋は戸建・新築志向が強く、マンション・中古志向が低い。その理由は、父母からの援助額が大きいため親の影響力が強く、その親は「買うなら新築一戸建てが一番」という固定観念があるからでもある。そこで、中古リノベーション住宅を「賢い選択肢」として、購入検討層が親世代に納得してもらうことが、「賢い購入者」への近道だという池本氏の話に、来場者は熱心に耳を傾けていた。

【画像3】名古屋市内でのリノベーション実例のパネル展示も好評を博した（写真撮影：リノベーション住宅推進協議会）

今回のイベントでは、株式会社ブルースタジオによる守山区の「フォレストヘイヴン瓢箪山」や、株式会社リビタによる千種区の「リアージュ本山ヒルズ」といった、1棟リノベーション住宅も話題に挙がった。名古屋にもマンションなどの1棟丸ごとリノベーション物件が登場し、市場はますます盛り上がる兆しだ。ただ安いものではなく「質が良くてお値打ち」、つまりおトクなものが大好きな名古屋人に、リノベーションが根付く日は近そうだと感じた。