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大森 広司
2012年2月8日 (水)

完成後も間取りを選べるマンションの新しい“買い方”を提案

新築マンションを買うとき、たいていの場合は住戸ごとに間取りが決められており、広さや位置だけでなく間取りも希望に合うかどうか判断して選ばなければならないのが現状だ。メニュープランなどで間取りやインテリアが選べるケースもあるが、3LDKのリビングを広げて2LDKにするなど、2~3パターンが用意されている程度であることが多い。そのため、「広さや方角は問題ないけど、間取りが家族構成に合わない」とか、逆に「気に入った間取りが希望の位置にはない」などのミスマッチが起きてしまう。

そこで「もっと自由に間取りを選びたい」という声に応えようと、“室内設計のセミオーダーメイド化”を打ち出したのが住友不動産だ。「カスタムオーダーマンション」と銘打って行われた記者発表で、同社が強調したメリットは3つある。まず1つは選べる間取りの種類が多いこと。物件や住戸によって異なるが、最大で13種類のプランが用意されるという。そのうえキッチンや浴室などの水まわりも動かせるというから、たしかに“セミオーダー”の感覚といえそうだ。

2つめは選べる期間が長いこと。普通はメニュープランといっても選べるのは着工後の限られた期間なので、建物の完成が近づくにつれて選べる住戸も少なくなる。だが同社の場合は建物完成後も約半年間は選べるそうだ。ただし完成後は選べる住戸や間取りの選択肢が限られ、水まわりも固定される。通常のマンションは完成時に内装まで仕上げてしまうが、カスタムオーダーマンションの場合は仕上げ前の段階でいったん完成させ、購入者が間取りを選んだ後で間仕切り壁の設置や内装工事を行うという。

さらにこうした間取り選びが、すべて無償で対応可能とした点が3つめのメリットだ。「販売価格が高くなるのでは?」と思いきや、同社によると「コストは企業努力で吸収できるので、従来と価格は変わらない」という。

同社では昨年10月、分譲中の複数の物件を1カ所で検討できる「総合マンションギャラリー」を都心の5ターミナル駅にオープンさせ、話題を呼んだばかり。今回のカスタムオーダーマンションは同社による“マンション選びの新提案第2弾”と位置づけているそうだ。今後は東京23区で新規に分譲するすべての物件と首都圏の大規模マンションの一部で原則として全住戸にこの仕組みを採り入れ、年間では1000戸~2000戸規模で対応していくという。これまでもオーダーメイドタイプのマンションを扱うディベロッパーはあったが、これほど大規模な取り組みは初めてだろう。

残念ながら、具体的にどのような間取り変更が可能かというプラン例は、記者発表の席ではほとんど明らかにされなかった。その点は実際にマンションを買うときの“お楽しみ”ということだろう。間取りをセミオーダーできるこうした取り組みが業界に広がれば、マンション選びの“お楽しみ”が増えそうだ。

※写真は、カスタムオーダーマンション対応の第1弾となる「シティテラス下目黒」。ほかに5物件が対応予定だ(写真提供/住友不動産株式会社)

■カスタムオーダーについて詳しくみる(住友不動産株式会社)
HP:http://www.sumitomo-rd-mansion.jp/custom/

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