住まいの雑学
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2012年10月1日 (月)

相続が放棄された土地って誰のもの? 土地の所有に関するあれこれ

相続が放棄された土地って誰のもの? 土地の所有について考える
Photo: iStockphoto / thinkstock

10月1日は「土地の日」。「十」と「一」を組み合わせると「土」の字になることから、国土庁(当時)が1997年に制定した。その目的は、国土交通省の報道発表資料をまとめると、限りある日本の土地の有効利用について国民全体で考えることを啓発し、また土地に関する国の施策に対して国民の理解と協力を得ること。そしてこのような観点から、毎年10月を「土地月間」とし、特に10月1日を「土地の日」として定め、土地の事柄について普及・啓発活動の充実を図ること、としている。

たしかに土地には限りがあり、とくに日本は狭く都市部の人口密度は極めて高い。そんな日本の土地だが、すべてに所有者がいるのだろうか? 例えばある土地の所有者が亡くなり、かつ相続人がいない場合は、その土地は誰のものになるのだろう?

法律に関する悩みや疑問を解決するサイト、法律Q&Aにはこんな質問が寄せられている。

Q.所有者のいない土地に家を建てられるか
現在戸建の賃貸に住んでいます。大家さんが亡くなり、一人いる相続人も土地・家ともに相続放棄をするつもりだとのこと。相続してもらったうえで売買契約をして購入することも考えていますが所有者のいない状態でも、固定資産税を払えば、住み続けられると聞きました。だれの所有でもない場合、そこで家の建て替え、リフォームなどすることはできますか?

との質問に、

A.相続する人がいない財産は国庫に帰属するとされています。民法に以下の規定があります。
(残余財産の国庫への帰属)
第959条  前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第956条第2項の規定を準用する。
その前に特別縁故者への財産分与などの努力もされます。よって、所有者のいない土地が生じるわけではなく、国有財産である土地となるわけです。お住みになりたければ国と交渉されればよろしい、というだけのことです。

との答えがあった。これは相続の際のケースだが、民法の別の条項では、所有者の無い財産の帰属について、第239条(無主物の帰属)第2項で“所有者のない不動産は、国庫に帰属する”と定めている。つまり日本には民法上、所有者がいない土地というものはなく、必ず個人もしくは、法人、国家など誰かが所有権を持っていることになる。

なお、ある土地の所有者を知りたいときには、法務局で登記簿を調べると分かる。法務局のPDF資料では、閲覧の請求書に必要事項を記入し、窓口に提出するように案内している。ちなみに手数料は、不動産1件当たり500円だ。

所有権など小難しい法律が関わってくる“土地”だが、個人の資産にも関係する身近な問題として、「土地の日」を機に一度、日本の土地について深く考えてみてはいかがだろうか。

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