この秋、リノベーション推進協議会の主催によって全国各地で行われているリノベーションEXPO2013。今回は、「ちゃんと住まいー自分軸で編集する住まい選びー」をテーマにそれぞれの地域でユニークなイベントが行われている。去る9月28日(土)・29日(日)の2日間に渡って行われた九州ブロックの様子を覗いてみた。
福岡・熊本の2つの会場で行われた九州ブロックのEXPOでは、業界の第一線で活躍するトップランナーによる講演にはじまり、各社のリノベ物件をテーマに「コダワリ間取り大喜利」を行うクリエーターショーケースコーナーなど、ユニークな企画が盛りだくさん。また、会社のリノベーション物件が見られる見比べオープンルームなどにも、多くのお客さまが足を運んでいた。
夜に行われた懇親会では、「街へダイブ!!」をテーマに、美野島商店街の中に誕生したゲストハウス「コステル美野島」(https://suumo.jp/journal/2013/09/26/52734/)を貸し切ってのパーティーなど、九州ならではの趣向が凝らされた内容となった。
なかでも今回注目を集めたのが、未来の担い手タイム。九州大学の学生を中心に進められている「糸島空き家プロジェクト」に関するプレゼンテーションだ。
九州大学は、平成17年からはじまった大規模移転で、福岡市の東区から西区への移転計画が進められている。その移転先である糸島で行われているのがこの「糸島空き家プロジェクト」だ。中心となっているメンバーは、建築を専攻する学生。糸島地区に600軒以上あると言われる空き家の活用や、学生と地域のつながりなどを目指してはじまったこのプロジェクト。3年目を迎え、シェアハウスやコワーキングカフェなど、地域とのつながりあふれる3つの物件が完成している。
後日、早速、工事の行われている現場へ足を運んでみた。
プロジェクトは企画立案にはじまり、設計やデザインといった机上の計画だけでなく、現場の施工も学生たちによるセルフビルドで進められている。まさに、実践型のリノベーションプロジェクトである。もちろん建てたら終わりではなく、シェアハウスの入居や、コワーキングカフェの運営など、その後の運営面に関してもさまざまな関わりをもっている。
当初は、建築学部の学生が中心であったが、最近では、学部を超えた参加も多いそう。プロジェクトの責任者の一人、九州大学大学院の仲摩純吾さんにお話を伺ってみた。
「大学の建築の授業において、リノベーションに関して学べる機会は少なく、こうしたプロジェクトを通して現場で実践的に学べるのはとても良い経験になっています。現場での施工に関しては、地元の藤原建設の協力により、実際の大工さん方にいろいろ指導を受けているのがとても勉強になっています。もちろん、技術を学ぶだけでなく、自分たちのやりたいことなどをぶつけてみたりもしています。
また、このプロジェクトでは、空き家を通して、街づくりや地域とのつながりも学べる。なので、最近はいろんな学部の学生が部活感覚で参加してくれていますが、それぞれの分野に通じる学びも多いのではと思っています。」
未来の担い手たちの果敢な挑戦によって、リノベーションの新たな可能性も広がっているよう。これからも、九州のリノベーション動向に注目したい。
●糸島空き家プロジェクト
HP:https://www.facebook.com/itoyaproject
HP:https://sites.google.com/site/itoyaproject2011/