若い女性をメーンターゲットにしたカジュアルアクセサリーの物販店「クレアーズ土浦ペルチ店」(茨城県土浦市)では、店舗内のすべての照明にLEDを採用した。天井高が2m50cmと比較的低く、共用部の照明が明るすぎない照度だったことから“オールLED”に踏み切った。消費電力は導入前と比べると約64%削減した。

 クレアーズ土浦ペルチ店は、2009年7月24日にリニューアルオープンした「ペルチ土浦」の4階に入居する。イオンモールとJR東日本の共同プロジェクトとして土浦駅ビルを全面改装した。店舗はエスカレーターに隣接し、面積は約50m2。向かい側には電球色をベースにした照明の、アパレルショップが並ぶ。

 照明の計画にあたっては、店舗手前の共用部の通路側に電球色、店舗内部に白色のLEDダウンライトを設置してベース照明とし、さらに電球色のLEDスポットライトで什器や商品を照らすプランを立案。全体の照度はおよそ1000ルクスだ。店舗奥側にある陳列棚には均一にLEDスポットライトを当て、明るさを保った。店舗の手前と奥で、照度にメリハリを付けることで、来店者を誘引することが狙いだ。

「クレアーズ土浦ペルチ店」の店内を共用部の通路側から見る。店舗の手前と奥で照度に落差を付けることで、誘引効果を引き出している。手前は温かみのある電球色のLEDダウンライトを採用し、入りやすい雰囲気を演出した(写真:細谷 陽二郎)

 照明計画を手掛けたケーエスピーホールディングスの駒田一央社長は「物販店の照明は、飲食店に比べると明るさが必要なので、オールLEDにすることは難しいとされている。特に、今回の場合、商品数が多くお客さんも多い。“商品を隠す影”に留意し、スポットライトの扱いには特に気を使った」と振り返る。

 スポットライトは、配線ダクトレール式で店舗をぐるっと囲うように配置している。直進性が強いLEDの特徴を考慮し、陳列棚に向けて照射する距離に変化を付けて光を拡散させた。陳列棚に並ぶ商品が、下に影を落とさないこと、商品を選ぶ際、来場者自身が壁になり影ができないことを目指した。

 採用した器具は、ダウンライトとスポットライトが台湾製、間接照明に仕込んだライン照明が韓国製だ。これらの製品の販売代理店でもあるケーエスピーホールディングスでは、国内メーカーの製品のほか、海外メーカーの製品も積極的に採用している。ただし、製品の品質や特許について、確認が取れたもの以外は採用しない。

天井には店舗をぐるっと囲むようにLEDスポットライトの配線ダクトが走る。導入したLEDは、約120灯。消費電力は導入前と比べると約64%削減した。既存光源と比較するとイニシャルコストは約2倍ながら、ランニングコストは約4分の1になるという。1.4年で回収できる予定だ(写真:細谷 陽二郎)

海外製品も選択肢の一つに

 駒田社長は「日本のLED市場には、膨大な数の海外メーカーの製品が入ってきている。ところが、明確な性能基準は設けられていない。海外製品も品質をきちんと把握すれば、十分選択肢の一つになる。リスクがある場合はきちんと使い手に伝えていくことも欠かせない」と話す。導入したLEDは、ダウンライトとスポットライトを合わせて約120灯だ(間接照明ユニットを除く)。ハロゲンランプなどの既存光源を採用した場合に比べると約3割ほど灯数が増えた。

 多くの器具を設置しているにも関わらず、店舗で働くスタッフからは「働きやすい」との声が聞かれた。クレアーズ土浦ペルチ店の河原美和副店長は「スタッフ総出で行う商品の入れ替えや混雑時でも不快な暑さを感じない。以前は照明に近い商品が熱くなってしまったり、照明の角度を変えるときに熱くて危ないと感じたりした。LEDに変わってからはそういったこともない。女性だけの職場だけに、スタッフにとっても、優しい店舗になった」と話している。

ダウンライトとスポットライトは台湾製、間接照明の内部には韓国製を取り入れた。国内メーカー製品よりも3割ほど安値で採用できるという。間接照明は、ブランドカラーの一つである紫色のフィルムでパッケージした(写真:細谷 陽二郎)