10月中旬に全米アジア不動産協会(AREAA=アリア)のメンバー約30名が来日し、東京・大阪などに約1週間滞在した。東京で開かれた親睦パーティーの模様をレポートしよう。
AREAAはアジア系アメリカ人社会を支援する不動産業界の専門家で構成されたNPO団体だ。2003年に設立され、会員数は全米で1万3000名を超える。今回は訪日視察ということもあり、パーティー会場には日系アメリカ人や米国で不動産業に従事する日本人の姿が目立つ。日本の不動産業関係者や報道関係者などが多く招待され、日本語と英語が入り交じるにぎやかな談笑があちらこちらで交わされていた。
やがて創立委員長のアレン・岡本氏がマイクの前に立ち、「これまで中国やフィリピン、シンガポールなどいろいろなアジアの国にトレード・ミッション(通商視察)に訪れましたが、ジャパンがベストだと信じています」と挨拶すると、会場はひときわ盛り上がった。
さっそく、岡本氏にインタビューしてみた。
――今回の訪日の目的は?
岡本氏「日本の不動産マーケットを理解し、日本の不動産業界の方々との友好関係を深めることが目的です。AREAAと日本の不動産業界との関係を強化し、ビジネスチャンスを広げたい。日本の投資家が米国の不動産に投資したり、企業が不動産を購入したりするのをお手伝いできるのではないかと思っています」
――日本の住宅市場についての印象は?
岡本氏「私は1970年代から日本を訪れていますが、日本の住宅市場は大きく変化しています。今回、マンションのモデルルームを見学しましたが、70年代にはこうした販売のコンセプトはなく、住宅を売るシステムがきちんとしていると感じました。またスマートハウスの展示場も印象的でした。今回はAREAAとして初めての訪日だったので大手企業を中心に訪問しましたが、中小の不動産会社とのネットワークも築き、日米の投資家が安心して投資できる環境をつくっていきたいと考えています」
パーティーの途中では米国の不動産市場の現状についてもプレゼンテーションがあった。それによると、米国では2006年を100ドルとした住宅価格が一時は65ドルまで落ち込んだが、現在では88ドルまで回復しているという。特に西部地域での回復が著しく、この1年間でネバダ州やカリフォルニア州では住宅価格が平均で20%前後上昇したそうだ。リーマン・ショックで住居をなくした人の買い戻しも始まっているとか。いまだにデフレから脱しきれていない日本から見ると羨ましい限りだ。
1990年からデトロイトで不動産業を営んでいるYoshiko Fujimori氏によると、「日本などから来る自動車産業の駐在員が住むための賃貸住宅の需要が活発で、中国やヨーロッパからそうした賃貸向け住宅に投資する人も増えています」とのこと。デトロイトといえば7月に市が破産申請したばかりだが、不動産市場は落ち込んでいないようだ。また、ホノルルで不動産業に従事するMami Y. Takeda氏は「アラモアナで開発中のコンドミニアムは、日本人や韓国人の投資家も多く買っています」と話す。
では米国から日本の不動産に投資する人は増えているのかというと、「興味のある人は多いが、実際にはなかなか難しいのが現状」(Fujimori氏)だそうだ。というのも、日本では不動産物件の情報があまり開示されていないからだという。「米国にはMLS(Multiple Listing Services)という制度があり、物件の情報や売買の履歴が一般にも公開されているので、安心して投資できるのです」(Takeda氏)
海外の投資家に日本の不動産を買ってもらうには、市場の透明性を高める必要がありそうだ。今回のAREAAメンバーによる来日がきっかけとなって、日米の不動産業界の交流が活発になれば、日本の不動産市場もより「開かれた」ものになるだろう。それにより、日本の不動産がデフレから脱する日が早まるかもしれない。
とはいえ、日本では消費税増税も控えて相変わらず市場の先行きに不透明感が漂うのも事実。「日本の不動産価格が上がるまで待てない」という人は、AREAAにコンタクトをとって米国の不動産に投資してみては?
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