ビジネス

総選挙控える独 反ユーロ、マルク復活掲げる政党支持の声も

 くすぶり続けるユーロの債務危機の中、ユーロを牽引してきたドイツでは秋に総選挙が予定されている。為替相場にも大きな影響を与えるだけに、個人投資家としては、その行方が気になるところ。キャリア30年の元外銀ディーラーでFXプロフェッサーの異名を持つ鈴川克哉氏が、選挙の行方について解説する。

 * * *
 この秋、事実上ユーロを引っ張ってきたドイツの総選挙が実施されます。これまで懸命にユーロを守ってきたメルケル首相率いる連立政権にとって正念場となります。

  ドイツ国民にとっては、これまでギリシャ、アイルランド、ポルトガル、キプロスなどの国々に注ぎ込んできた数十億ユーロはほとんどがドイツ人の税金であり、自分たちが必死に働いて稼いできたお金です。イソップ寓話にあるように勤勉なアリが遊び呆けてきたキリギリスに、果たしてこれからも手を差し伸べるべきなのか、国民の審判が下ります。そしてドイツ国民の中には不満がたまってきているのも事実です。
 
 ドイツの指導者、あるいは産業界にとってはユーロ圏の覇者に留まり、ドイツマルク時代よりも大幅に安いユーロを武器にして自国の経済の成長を図ることは、輸出大国ドイツとしては十分理にかなったことではあったのですが、一般の国民感情はまた違った側面を持ちます。ドイツの景気状況もお世辞にも改善しているとはいえません。

 もちろんユーロ圏の中では一人勝ちではあり、2013 年も何とかプラス成長は維持できそうな予想にはなっていますが、それはドイツ国民の類稀なる勤勉さからきているものであり、国民自身の中に真にユーロ圏に留まっていることからくる豊かさの実感はあまりないのです。

 ドイツにおいても既成政党の政策に見切りをつけて、反ユーロ、ドイツマルク復活を掲げた新しい政党の動きが出てきており、まだ少ないとしながらも支持者がでてきているようです。

 今のところ、メルケル首相に対するドイツ国民の信任は厚く、人気も衰えてはいません。しかし、ここにきて、ドイツ主導の緊縮財政策への批判がIMF(国際通貨基金)、欧州委員会等からもでてきており、メルケル首相に対する風向きも変わりつつあります。今後、緊縮財政を続けることが本当に経済回復につながってゆくのか、欧州の国々のみならず世界中で議論がなされてゆくことと思います。

※マネーポスト2013年夏号

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン