街・地域
55
SUUMOジャーナル ピックアップ
2013年5月2日 (木)

定住人口の増加に成功した千代田区。その施策について聞いてみた

オフィス街のイメージが強い千代田区だが、地道に取り組んできた施策が定住人口アップにつながった(写真: iStockphoto / thinkstock)
写真: iStockphoto / thinkstock

先日のMSN産経ニュースによると、千代田区の人口が昭和63年1月以来、25年ぶりに5万人台を回復したそうだ。各地で少子化による人口減が叫ばれるいま、なぜ千代田区は5万人まで回復することができたのだろうか? 

そこで、千代田区役所に具体的にどのような施策を行ったのか、取材してみた。お答えいただいたのは、千代田区役所政策経営部企画調整課の担当者。まずは、実施した内容をざっと纏めたので、ご紹介しよう。

1、区民住宅・借上型区民住宅の供給
・中堅所得層(年間所得が概ね250万~1000万円程度)の世帯を対象とした公共住宅を供給。
・所得に応じて使用者負担額が決まる仕組みをとっており、所得に応じた家賃負担で居住することを可能に(所得が高いほど使用者負担額も高くなる)。

2、次世代育成住宅助成
・親世帯との近居のために住み替える新婚世帯・子育て世帯や、子どもの誕生・成長等に伴いより広い住宅に居住するため、区内転居する子育て世帯などを対象に、家賃や住宅ローンの一部を助成する。
・中堅所得層の世帯が対象で、最大月額8万円・最長8年間の助成が受けられる。

3、住宅付置制度
・千代田区内で大規模な開発を行う事業者に、その規模に応じて住宅を建設するよう定めた。
・定住人口確保のための良質な住宅の供給や、良好な住環境の整備を図る。

4、その他(まちづくりと連携した住宅供給促進施策)
・市街地再開発事業や建築物の共同化を通じた住宅供給を促進し、市街地環境の整備・改善とともに良好な住宅の供給を図る。

では、これらの施策がどのような結果となり、人口増加へとつながったのだろうか?

「1の区民住宅・借上型区民住宅には、平成25年4月1日現在、合計約370世帯(950人)が居住しております。2の住宅助成は、平成14~24年度の11年間で、通算約490世帯の新婚世帯・子育て世帯が利用。3番目の住宅付置制度は、事業開始年度の平成4年度から23年度の20年間で4950戸数が供給されました。4番目は平成5年前後から事業が開始され、これまで市街地再開発などにより約2100戸、建築物の共同化により約650戸が供給されてきました」

居住者の家賃やローンなどの経済負担を少しでも軽減、また供給戸数を増やすことによって、徐々に人口を回復させてきたというワケか。

ところで、定住人口が増えることによって、区政に今後どのような影響があるのだろうか?

「子どもの数が増えることによる保育需要の拡大や学校教室の確保などがあげられます。また、増加傾向にあるマンション居住者の地域コミュニティへの関わり方や区民の区政への協働・参画のあり方についても今後検討が必要となる事項と考えます。一方で定住人口の増加は、世代間を超える地域コミュニティを育み、まちの活力向上へつながることが期待されるため、こうした人口増加に伴うさまざまな課題について適切に対応し、だれもが住みたいと思うまちを目指していきます」

地道に取り組んできた数々の施策がようやく実を結んだ千代田区。今後も引き続き、定住者が減ることのないような、魅力あるまちづくり、施策を期待したい。

前の記事 うめきた先行開発区域プロジェクト「グランフロント大阪」がオープン!
次の記事 なぜ埼玉にアメリカが? 入間市のジョンソンタウンを歩いてみた
SUUMOで住まいを探してみよう