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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2012年5月29日 (火)

【今週の住活トピック】どうする?団塊世代のリタイア後の住まい

・団塊世代の1/3が定年を機に住まいを変えたい/(株)LIXIL 「団塊世代の住まいおよび庭に関する意識調査」によれば、定年を機に住まいを変えたいという団塊世代が34.4%。団塊世代はリタイア後の住まいをどうするのか? ・業界団体が親からの贈与の非課税枠・住宅ローン控除の拡大を要望/(一社)不動産流通経営協会 「流通新時代」における望ましい住宅・不動産税制のあり方に関する研究会のとりまとめとして、親からの贈与の非課税枠・住宅ローン控除の拡大が必要と発表。実現なるか? ・住宅用太陽光発電システムの設置が累計100万件突破/(一社)太陽光発電協会 2012年4月末までの国内における住宅用太陽光発電システムの累計設置件数が、100万件を突破。7月1日より始まる電力の「固定価格買取制度」を機に、さらに増えるか?

今週の気になるニュースの中から、団塊世代の住まいについて深掘りしてみたいと思う。

約800万人と言われている団塊世代が、2012年以降65歳に到達し、本格的に就業を終えることになる。リタイア後のセカンドライフでの消費動向に注目が集まる中、団塊世代の住まいに関する調査結果が発表された。団塊世代は、セカンドライフの住まいをどう考えているのだろうか?

■団塊世代の1/3が住まいを変えたいと回答

株式会社LIXILが2012年4月、東京都と大阪府の団塊世代(62~65歳)500人に実施した「団塊世代の住まいおよび庭に関する意識調査」によると、34.4%が住み替えやリフォームなどをして「住まいを変えたい」と回答している。
住まいを変えたい34.4%のうち、「住み替え」を希望しているのが52.9%と過半数を占め、「リフォーム」が36.0%、「修繕」が5.8%と続いている。また、住み替えの平均予算は3555万円、リフォームの平均予算は398万円、修繕の平均予算は194万円だった。ただし、東京と大阪では予算に差があり、住み替えの平均予算で1444万円も開きがある。これは、都内で都心部や今より駅に近い立地条件に住み替えようとすると、それなりの予算が必要になることを反映しているといえそうだ。

また、住み替える場合、男性は一戸建て(庭付き・庭なし)が最多の50.9%であるのに対し、女性はマンション(高層含む)が最多の53.8%で、男女で意見が分かれた。

住まいの変え方とその予算(定年後に住まいを変えたい34.4%に対して)
住まいの変え方とその予算(定年後に住まいを変えたい34.4%に対して)

株式会社LIXIL「団塊世代の住まいおよび庭に関する意識調査」より抜粋

■セカンドライフの過ごし方は多岐にわたる

5年前、団塊世代の60歳定年による退職後の動向が注目を集め、「2007年問題」として話題になったが、大量退職による人材不足を危惧して、65歳までの継続雇用を促進する法整備がなされた。そこで、次なる「2012年問題」が注目されることになる。

住宅業界においても、以前から団塊世代の住み替えや建て替え、リフォームなどの需要を期待していた。ところが、急ぐ理由がないこと、ニーズが多岐にわたることなどから、つかみどころのないターゲット、ニッチマーケットという認識をするようになった。
実際に筆者が、団塊世代を含むシニア層にインタビューした際には、多額な費用がかかる住宅については、できるだけ費用をかけずに永住したいという人がいる一方で、積極的にセカンドライフを満喫しようと都心部に住み替えたり、田舎暮らしを楽しもうと移住したり、自宅と田舎を行き来する二地域居住をしたり、暮らしやすいように自宅を減築する(面積を減らす)リフォームをしたり、さらには海外にロングスティしたりと、実にさまざまに住まいを変えていた。
また、インタビューの際の傾向としては、田舎暮らしや庭いじりを希望する男性に対し、都心への近さや利便性を重視する女性という違いがあった。LIXILの調査結果でも男女で意見が異なっており、セカンドライフの過ごし方を夫婦で納得がいくまで相談することが重要だろう。

■リタイア後の選択肢は豊富にある

永住しようという人は、住まいそのものや立地、地縁に愛着を感じている人が多い。高齢期を迎える団塊世代の住まいとして、段差をなくすなどのバリアフリーリフォームを施して住み続けるという選択肢もあるだろう。
利便性を求めて、都心部や駅に近いマンションに住み替えるという選択肢もあれば、田舎の空き家を借りて地元の人の中で暮らしたり、管理の良い別荘地を買って住んだりといった選択肢もある。また、東日本大震災を契機に家族の絆を考えて、今後はさらに親子間で近居をしたり、2世帯住宅を建築して同居したりするケースが増えると考えられる。
豊富な選択肢の中から、自分の暮らし方や価値観に合うものを選べばよい状況にあるが、課題となるのはそのための資金だ。老後の生活を守りながら、限りある資金の中で、セカンドライフの基盤となる住まいを変えることを考える必要があるだろう。

■今週の気になるニュース3 詳細はこちら
・団塊世代の1/3が定年を機に住まいを変えたい
HP:http://newsrelease.lixil.co.jp/news/2012/120_newsletter_0516_02.html
・業界団体が親からの贈与の非課税枠・住宅ローン控除の拡大を要望
HP:http://www.re-port.net/news.php?ReportNumber=29147
・住宅用太陽光発電システムの設置が累計100万件突破
PDF:http://www.jpea.gr.jp/pdf/t120517.pdf
https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2015/05/97a3e7d658abcc014cf75ce60ff9c1b1.jpg
連載 今週の住活トピック 住宅ジャーナリストが住まいの最新ニュースを紹介&解説する連載。毎週水曜更新の「今週の住活トピック」。
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