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佐藤 由紀子
2012年4月8日 (日)

フリーランスや自営業は住宅ローンが借りにくいってホント?

マイホームを買いたいけれど、住宅ローンは借りられるのか……。そんな不安を抱いている人は少なくないだろう。特に、会社員と違って、毎月決まった収入があるとは限らないフリーランス、自営業者、派遣社員、契約社員の中には住宅ローンは組めないとあきらめている人もいるはず。実際、フリーランスや自営業者だと住宅ローンは借りにくいのか?ライフクリエイト代表でモーゲージプランナー(住宅ローンの専門家)の中島正志氏に聞いた。

■自営業やフリーランスが不利とは限らない

「自営業者やフリーランスだからということで、住宅ローンが組めないわけではありません。フラット35も民間ローンも、お金を借りて利息を払う方がお客様であり対等な関係です。自営業者やフリーランスでも、収入や売り上げが十分で、ローンの返済能力があると判断できれば、金融機関は融資してくれるでしょう。また、派遣社員、契約社員だからといって諦めてしまう方もいますが、雇用形態、収入がしっかりしているかどうかが重要になります。まずは、専門家に相談することをお勧めします」と中島さんは話す。

では、ローンの返済能力は何を基準に判断されるのか。住宅ローンを借りる場合、過去3年分の所得がひとつの目安で、借入れを申し込む際には納税証明書や確定申告書の写しなど、所得を証明する書類を提出する。年収に対する年間のローンの返済金額の割合を返済負担率といい、個々の年収によっての融資基準の返済負担率が変わってくる。

■返済能力があるかどうかが審査のカギ

「ここで注意したいのが、源泉徴収票で納税していれば問題はありませんが、確定申告している場合などは公的証明(納税証明書)との額面の違いがでてしまうこと。その場合、金融機関の融資判断基準はあくまで公的証明(納税証明書)となります。近い将来、マイホーム取得を考えている方は、確定申告の際には、節税対策で経費等を差し引いて収入を少なく見積もるより、住宅ローンが借りられる収入を確保することが重要です。
また、自営業で起業したての場合は、過去3年間の所得が分からないため返済能力を証明しにくくなります。けれども、契約社員で転職された場合も専門職でスキルアップしていると判断された場合は、職歴や収入によっては大丈夫と判断される場合があります」。

住宅ローンの審査は、支払い能力があるかどうかが基準の要となるが、自動車のローン、カードローン、ノンバンクからの借金など、ほかの借り入れも要注意だ。返済負担率は、ほかのローンと合計で考えるため、既にほかの借金があれば、その分借入額は減る。
個人情報の同意書に署名すれば、借金があるかどうかは一目瞭然だ。
「各金融機関の履歴が残り、 過去に融資を申し込んだことが分かります」と中島さん。

■収入に不安がある場合は

住宅ローンを借りる上で気になること、フラット35と民間ローンではどちらが借りやすいのだろうか。「フラット35は規定の書類や条件をクリアすることが大前提です。民間融資の場合は、収入証明などを提出することで借入できるケースもあります。どちらが借りやすいかは一概には言えませんが、審査金利の基準が違うため借入額や長期の返済計画が大きく変わります。最終的にはご自身のライフプランに合わせた判断をすることをお勧めします」。

もちろん個々のさまざまな事情があるので、一概に収入があれば大丈夫とは断言できない。同じ仕事を何年続けているか、過去の収入額が安定しているか、仕事の専門性、スキルアップしているかといった面も判断要素として絡み合い、総合的に判断されるといえるだろう。「ローンの借り入れが厳しい場合は、頭金を増やして借入額を減らす、親から資金援助を受けて借入額を減らすなど、工夫が必要です。住宅ローンを借りて家を買いたいと思ったら、住宅ローンに関する正しい知識を身につけ、ライフプランをきちんと考えてローンが借りられるように準備をすることですね」とアドバイスしてくれた。

自営業、フリーランス、契約社員だから審査が通りにくい、ということはない。より借りやすくするために、頭金を貯める、増やすことはもちろん、親の援助を受ける方法もある。また、共有名義にするなど連帯債務者と収入を合算し収入額を増やす方法もある。あらかじめ不動産会社と金融機関が提携している提携ローンを利用するのもひとつだ。まずはローンの専門家や不動産会社のスタッフに相談してみてはいかが。

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