去る5月10日、東京都豊島区東池袋の賃貸マンション「ROYAL ANNEX」内に、地域に開かれたシェアスペース「co-ba ROYAL ANNEX」が誕生しました。”シェアード・ライフワーク・プレイス”と銘打たれたその場所にはマンション住民と地域の人々が集い、活き活きとした交流が生まれているとか。従来の賃貸マンション像を覆すやもしれぬ、新たな試みを取材してきました。
「賃貸マンションはもっと街に開いていかなきゃ!」
そう語るのは、「co-ba ROYAL ANNEX」の仕掛け人・青木純氏。このほど、自身が管理する賃貸マンション「ROYAL ANNEX」内に、入居者と地域の人々が集える会員制ワークプレイスをオープンさせました。オープンなフリーアドレスの空間は、仕事や創作活動の作業スペースとして利用可。備え付けのシェアライブラリーや自由に書き込める黒板を活用し、さまざまなコミュニケーションを図れるようになっています。
「地域の交流を生むようなイベントもここから積極的に仕掛けていきたいと思っています。開かれたこの場所を介し、住人と地域がつながれる機会をつくっていきたいです」と青木さん。
そもそもこの「ROYAL ANNEX」は日ごろより住人間の交流が積極的に行われていて、家族のように温かなコミュニティが築かれている稀有な賃貸マンションなのですが、その輪を今度は地域にまで広げていこうという目論見のようです。
確かに賃貸マンションというと、なんとなく地域の輪から疎外されている感が否めません。かくいう筆者も10年以上賃貸暮らしですが、そういえば町内会的なものに誘われたことはないですし、そもそもそんな寄り合いがあるのかどうかも知りません。地域のお祭りだって、いつどこでやっているのやら……。
煩わしい人間関係が苦手な人にとってはそれが利点になるのでしょうが、災害時などに孤立してしまわないためにも、マンション暮らしといえどある程度は地域の輪に加わっておく必要があるのではないでしょうか。
「co-ba ROYAL ANNEX」の試みは、クローズドな賃貸マンション像を変えるモデルケースになるかもしれません。
ちなみに、コワーキングスペースではなく「シェアード・ライフワーク・プレイス」としているのは、より幅広い世代、幅広い用途に活用してほしいという思いがあるから。
「仕事だけでなく、趣味や地域活動など多様な『ライフワーク活動』に使用していただきたいですね。例えば、地域ボランティアに勤しむアクティブシニア、自分なりの活動を始めてみたい子育て中のママ、大人たちに囲まれて宿題をする小中学生などなど、ライフステージやバックグランドが異なる人々がつながり、新たな発見や活動を生み出す場にしていきたいと考えています」(青木さん)
また、幼児教室も併設しているため、働くママが仕事をするにも便利。午前中ここにきて、子どもを預けてノマドワークに勤しみ、地元商店から配達された新鮮野菜を買って帰る。そんな動きも可能です。働きたいけど家では仕事が捗らない。かといって乳飲み子を抱え、ビジネス街のコワーキングスペースまで出かけるのは難しい。そんな悩みを抱えるお母さんは少なくないはず。ビジネス街ではなく住宅街の中にあるシェアスペースだからこそ、こうした多様なニーズをすくいあげることができるんじゃないでしょうか。もちろん仕事でなくても「ゆっくり本を読みたい」といったカジュアルな利用でもOKとのことですので、しばし育児から離れのんびりしたいなんて人にもオススメです。
オープンから1カ月。これまでに仕掛けたイベントやワークショップも活況を呈しているようで、7月9日にもトークイベントが開催されるそう。今後も、さらに人と人、人とコトをつなぐべく、次なる仕掛けも色々考えているとのことです。「開かれた賃貸マンション」の、今後の展開から目が離せません。