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榎並 紀行(やじろべえ)
2015年9月3日 (木)

お散歩中に空き部屋をキャッチ! Apple Watchでハイテク家さがし

お散歩中に空き部屋をキャッチ!  Apple Watchでハイテク家さがし
写真撮影:榎並紀行/やじろべえ
先日、長く海外生活を送っていた古い知人が、十数年ぶりに日本へ帰国した。かつて筆者がボストンを旅した際、コーディネートをお願いした邦人ガイドの息子さんである。当時はまだ11歳のスクールボーイだった。
そんな彼がこのほど日本にわたり、こちらでそのまま就職するという。しかし、まだ住む家が決まっていないらしい。そこで、父上にお世話になった恩返しに、今度は僕がジュニアの家探しをサポートすることにした。

「Apple Watch」で、お散歩ついでに家さがし

ジュニアにはいくつか住んでみたい街の候補があり、実際にそこを歩きながら物件を探したいという。さっそく指定されたカフェに向かうと、すでに彼が待っていた。スラリと背の高い、なかなかのやさ男に成長している。

【画像1】これ見よがしに英字新聞を広げる彼が、日本ではじめての家探しに挑むジュニア。筆者より10歳若い(写真撮影:榎並紀行)

【画像1】これ見よがしに英字新聞を広げる彼が、日本ではじめての家探しに挑むジュニア。筆者より10歳若い(写真撮影:榎並紀行)

「ゴブサタダナ。今日はヨロシク!」

海外生活が長かったためか、若干日本語がアヤシイ。語尾が不遜で腹立つが、仕方あるまい。でも、サングラスはとりなさい。

ところで、どんなところに住みたいんだ、君は。

「ナカメかロッポンギに決まってるダロ! 最低でも200平米は必要だナ」

何が「決まっている」のかは分からないが、どうやら事前に東京のオシャレな街、というか住んだらモテそうな街を調べてきたらしい。でも、家賃高いぞ! 払えるのか?

「HA・HA・HA! カネに糸目はつけナイヨ~」

【画像2】「200m2以下は豚小屋」。暴言を吐くジュニア(写真撮影:榎並紀行)

【画像2】「200m2以下は豚小屋」。暴言を吐くジュニア(写真撮影:榎並紀行)

なんかむかつくな、こいつ。
しかし、乗りかかった船である。堪忍袋の限界まで付き合うとしよう。

なんでも、彼には物件探しの秘策があるという。

【画像3】これ見よがしにApple Watchをかざしてきた(写真撮影:榎並紀行)

【画像3】これ見よがしにApple Watchをかざしてきた(写真撮影:榎並紀行)

差し出したのは買ったばかりだというApple Watch。なんでもSUUMOのiOSアプリをダウンロードすると、「おさんぽ検索」なる機能が使えるらしい。希望の家賃と間取りを設定して街を歩くと、条件に合う空き物件を検知。音やバイブでお知らせしてくれるのだとか。

「オサンポ感覚で物件サガシがデキる、画期的なアプリなんダヨ」と自信満々だ。不快きわまりないドヤ顔はさておき、アプリは確かに便利そうだ。

【画像4】条件を設定し、検索スタート(写真撮影:榎並紀行)

【画像4】条件を設定し、検索スタート(写真撮影:榎並紀行)

さっそくアプリを使い、まずは六本木にて物件探しを試みる。予算はある! と彼が豪語するので、とりあえず間取りの条件のみを設定して散策スタート。すると、さっそく物件が通知されたようだ。画面には「六本木ヒルズ」とある。

【画像5】イイネ! ここ(写真撮影:榎並紀行)

【画像5】イイネ! ここ(写真撮影:榎並紀行)

いやいや、人生の勝ち組が住むとこだから。べらぼうに家賃高いんだから、そこ。
いくらなんでも無理なんじゃないかい、ジュニアよ、おいジュニアよ!

「はあ? ビンボー人はクソシテ寝テナ」

日本語が不自由なくせに罵詈雑言の切れ味はやけに鋭い男だ。そこまで言うなら自慢のApple Watchで家賃をチェックしてみるがいい。

【画像6】賃料184万円也(写真撮影:榎並紀行)

【画像6】賃料184万円也(写真撮影:榎並紀行)


【画像7】・・・・・・・・・(写真撮影:榎並紀行)

【画像7】・・・・・・・・・(写真撮影:榎並紀行)

驚愕の家賃に言葉を失うジュニア。家賃だけじゃなく敷金・礼金も700万超えという天上人の世界を目の当たりにして、さすがに現実の厳しさを知ったようだ。

【画像8】ヒルズの前からしばらく立ち去ろうとしない。そんなにショックだったのか、なんかごめん(写真撮影:榎並紀行)

【画像8】ヒルズの前からしばらく立ち去ろうとしない。そんなにショックだったのか、なんかごめん(写真撮影:榎並紀行)

尋常じゃないほど落胆するジュニア。なんだかかわいそうになってきたな。
ていうか、もしかしてホントはカネないのか・・・?

【画像9】その質問には応えずに、こっそり家賃条件を「7万円未満」に設定するジュニア。あれだけ吠えてたわりに、ずいぶん現実的なラインに落ち着いたもんである(写真撮影:榎並紀行)

【画像9】その質問には応えずに、こっそり家賃条件を「7万円未満」に設定するジュニア。あれだけ吠えてたわりに、ずいぶん現実的なラインに落ち着いたもんである(写真撮影:榎並紀行)


【画像10】ニッポンの夏は暑すぎるヨ~(写真撮影:榎並紀行)

【画像10】ニッポンの夏は暑すぎるヨ~(写真撮影:榎並紀行)

だが、けっきょく六本木ヒルズ周辺では目ぼしい物件は見つからなかった。そこで次に、もうひとつの希望エリアである中目黒にやってきた。

【画像11】中目黒のオシャレエリア、目黒川沿いを散策しつつ物件を探す(写真撮影:榎並紀行)

【画像11】中目黒のオシャレエリア、目黒川沿いを散策しつつ物件を探す(写真撮影:榎並紀行)

東京屈指の桜の名所としても知られる目黒川沿いは、オシャレな芸能人も多数住んでいるといわれる人気エリアである。さすがに7万円未満の部屋などそうそう見つからない。
そこで、家賃の条件を「7万円~11万円台」にまで広げてみると川沿いのマンション、桜並木を見下ろす2Kの部屋がヒットした。

【画像12】条件に合う物件が見つかった(写真撮影:榎並紀行)

【画像12】条件に合う物件が見つかった(写真撮影:榎並紀行)


【画像13】2K、28.68㎡で11万7000円。立地を考えれば、なかなかのお得物件といえる(写真撮影:榎並紀行)

【画像13】2K、28.68m2で11万7000円。立地を考えれば、なかなかのお得物件といえる(写真撮影:榎並紀行)


【画像14】オトウチャン、お部屋が見つかったヨ!(写真撮影:榎並紀行)

【画像14】オトウチャン、お部屋が見つかったヨ!(写真撮影:榎並紀行)

かくして、ジュニアは無事、素敵な部屋に巡り合うことができた。ボストンにいるパパも、きっと喜んでくれるだろう。

それにしても、ただ歩くだけで空き物件の情報が分かるなんて、便利な時代になったもんである。これなら例えば、たまたま出かけた街の雰囲気が気に入ったときなどにも、その場ですぐ物件を探すことができてしまう。従来の不動産屋めぐりでは縁がなかった思わぬ掘り出し物と、タイミングよく出合うチャンスも広がるだろう。

スマホやApple Watch、情報デバイスを駆使した最新のお部屋探し。ハイテク好きにはおすすめです。

※この物語はフィクションであり、ジュニアことTくんは埼玉育ちの真面目で礼儀正しい好青年です。

【画像15】撮影の合間、仕事のメールを小まめに返信するTくん(写真撮影:榎並紀行)

【画像15】撮影の合間、仕事のメールを小まめに返信するTくん(写真撮影:榎並紀行)

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