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2013年1月26日 (土)

じつはプロボクサーだった!? 建築家・安藤忠雄の生き方と作品

じつはプロボクサーだった!? 建築家・安藤忠雄の生き方と作品

「建築家?あんまり詳しくないなぁ」という人でも、「安藤忠雄」の名前は聞いたことあるという人が多いはず。言わずもがな日本を代表する建築家である。個人住宅などの小規模建築から、公共建築、美術館建築といった大規模の建築まで手掛け、世界にもその名を轟かせている。また最近では、東日本大震災の遺児を支援するための遺児育英資金「桃・柿育英会」を発足し、自らが実行委員長を務めるなど、社会活動にも積極的だ。

そんな安藤だが、ちょっとユニークな経歴の持ち主なのをご存じだろうか。彼は大学での専門的な建築教育は受けておらず、建築設計事務所でのアルバイト経験と独学で建築士試験に合格したという。また、24歳のときから4年間、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアへ放浪の旅に出ていた。さらには、プロボクサーでもあった。しかしファイティング原田の練習風景を見て、その才能に圧倒され、ボクサーとしてやっていくのを諦めた、とのことだ。(参考:Wikipedia

経歴をみるだけでも、かなり独創的だが、次は実際に安藤が手掛けた作品に着目したい。数ある作品のなかでも代表的なものとしては、出世作といわれている「住吉の長屋」、大阪の「サントリーミュージアム『天保山』」、打ち放しコンクリートの「光の教会」、直径46mの円筒形をしている「兵庫県立木の殿堂」などがある。なかでも記憶に新しいのが東京の表参道ヒルズだ。
今回はその表参道ヒルズの広報担当者に、建築コンセプトや特徴などを伺いながら、安藤建築の精神をひも解いてみたい。

「当施設は歴史ある表参道の景観と環境との調和を第一に考え、設計に建築家の安藤忠雄氏を起用しました。開発コンセプトは、“表参道との景観の調和”、“独創的なスパイラルスロープ(第二の表参道)”、“ケヤキと暮らす住宅”、“安全で災害に強い街づくり”、“緑を育む屋上庭園”、“外壁の一部を再生”です。また、人々の記憶に刻まれた景色を次の世代に継承したいという思いから、旧同潤会青山アパートを“同潤館”として再生、街の歴史や文化を大切に育みながら、いつまでも多くの人々に親しんでいただけるよう、さまざまな工夫を施しています」

“独創的なスパイラルスロープ(第二の表参道)”とは、行かれた方はご存じだろうが、本館の中央には6層の吹抜け空間があり、その周りには表参道の坂とほぼ同じ勾配の螺旋状の坂が施されているのだ。このような柔軟な設計は安藤ならではの仕事といえるだろう。

独創的なスパイラルスロープ(第二の表参道)

表参道ヒルズのほかにも、安藤が手がけた作品は、駅や美術館などふだんから利用できる施設も多い。近所にある作品を探して、氏の思想に触れてみては?

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