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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2012年12月19日 (水)

住宅ローンの金利タイプはどれを選ぶ? 住宅選びで重視するものは?

住宅ローンの金利タイプはどれを選ぶ? 住宅選びで重視するものは?
Photo: iStockphoto / thinkstock
【今週の住活トピック】
平成24年度「民間住宅ローン利用者の実態調査【民間住宅ローン利用予定者編】(第2回)」を公表/住宅金融支援機構

http://www.jhf.go.jp/about/research/loan_user.html

住宅金融支援機構はこのほど平成24年度「民間住宅ローン利用者の実態調査【民間住宅ローン利用予定者編】(第2回)」を公表した。住宅を購入する予定の人は、どんな金利タイプのローンを選び、何を重視して住宅を購入するのだろうか?調査結果から考えてみよう。

低金利が続くと見るなら変動型、見当がつかないなら全期間固定型という傾向も

「民間住宅ローン利用者の実態調査【民間住宅ローン利用予定者編】」は、今後5年以内に住宅取得で民間の住宅ローンを利用する予定の人を対象に、住宅金融支援機構が年3回実施しているもので、今回は平成24年度の第2回目。10月にインターネットで実施し、1021人の回答を得たもの。

まず、住宅ローンの金利タイプとしては、35年などの返済期間を通して金利が固定される「全期間固定型」、当初の3年や5年、10年などの選択した一定期間だけ金利が固定される「固定期間選択型」、半年ごとに金利が見直される「変動型」の3タイプがある。住宅の購入予定者が利用したい金利タイプは、全期間固定型が35.4%、固定期間選択型が35.3%、変動型が29.4%という割合になった。前回調査(平成24年6月調査)と比べると、「全期間固定型」と「固定期間選択型」で微減し、「変動型」で微増した。
どの金利タイプを希望するかは、借り入れ後に金利がどう変わると予測するかによっても変わる。今のような低金利のときには、金利が固定される期間が長いほど、当初適用される金利は高めになるが、今後金利が上昇した場合でも当初の金利が適用されるので、安心ということになる。
今後1年間の住宅ローンの金利見通しについては、変動型を希望する人ほど「ほとんど変わらない」の比率が高くなり、全期間固定型を希望する人ほど「見当がつかない」の比率が高くなる傾向がある。今のような低金利が続くと見るなら、金利上昇リスクよりも最も金利の低い変動型を志向し、金利がどうなるか分からない場合は、安全重視で全期間固定型を志向するという傾向が見て取れる。
■今後1年間の住宅ローン金利見通し(金利タイプ別)
今後1年間の住宅ローン金利見通し(金利タイプ別)

さて、実際に住宅ローンの金利タイプを選ぶ際には、その時点の適用金利が大きく左右する。資金計画に大きく影響するからだ。今の市況の特徴としては、「変動型」の金利に大きな動きはないが、「固定期間選択型」のうち、10年固定という長期間金利を固定するものの金利が低くなっていること、「全期間固定型」であるフラット35の金利が史上最低を更新していることなどから、金利タイプによる適用金利の差が縮まっている。したがって、金利をどう見通すか、安全性と低金利のうまみのどちらを重視するのかなど、個人の考え方によって選択しやすい環境にあるといえるだろう。

重視するのは価格と耐震性能。コストアップしても耐震性能を高めたいという人も多い

次に、住宅を取得する際に特に重視しているもの(3つまで選択可)については、「価格・費用」(57.5%)と並んで、「耐震性能」(56.4%)が過半数を超える結果となった。これは、東日本大震災の影響が強く表れており、大震災発生前後で重視するものがどう変わったかを聞くと、「耐震性能」が震災前の19.1%から震災後の56.4%に跳ね上がっている。同様の傾向は、「立地(災害などに対する安全性)」や「省エネ性能」、「耐久性」、「構造・工法」でも見られる。

「耐震性能」を重視すると回答した人に、住宅の耐震性能を高めるためにどのようなことを考えるか聞いた(複数回答)ところ、「コストアップしても、耐震性能を高めたい」54.2%、「コストアップしても、地盤調査・地盤改良工事を行いたい」40.6%、「コストアップしても、免震構造の住宅にしたい」36.8%が上位に挙がった。では、耐震性能を高めるためのコストアップは、住宅取得予定額からどの程度なら許容できるか聞いたところ、「5%~10%まで」が最多の42.2%、次いで「5%まで」が33.2%となった。一方、「コストアップは許容できない」は6.6%で、93.4%がなんらかのコストアップを許容できると回答している。

また、「省エネ性能」を重視すると回答した人に、同様の質問をしたところ、「コストアップしても、太陽光発電設備を設置したい」が59.7%、「コストアップしても、LED照明を設置したい」が43.7%、「コストアップしても、断熱性能を高めたい」が40.3%と上位に挙がった。なんらかのコストアップを許容できると回答したのは95.4%だった。

さて、東日本大震災から1年9カ月たつが、震災直後から変わらずに、住宅の耐震性能や省エネ性能を重視する傾向が続いている。住宅が命と暮らしを守るための器であることを認識し、住宅を選ぶ際には、多少コストアップしても性能を高めたいと考える購入者が増えることを歓迎したい。消費者ニーズが、住宅の品質を向上させる大きな要因になるからだ。実際に購入する場面になっても、この点を忘れずにいてほしいと思う。

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