ここ6年以内に住宅を購入したママ2038人に、ウィメンズパーク(ベネッセコーポレーション)と共同でアンケート調査を行ったところ、4割の人が「家を購入後、想定外の出来事があった」と答えていました。今回は「夫婦の寝室」について。“住宅購入”そのものとは話題が少し離れますが、データとコメントから、実情を探ってみました。
「夫婦が同じ部屋で寝ていますか? 」の質問に対し、8割以上の人が「夫婦同室」と答えており、別室派を大きく引き離しています(図1)
ところが「子ども(第1子)は誰と寝ていますか?」(複数回答)の質問には、9割以上が「自分(ママ)」と答えています(図2)。つまり、「ママ(妻)、パパ(夫)、子ども」と家族みんなで寝ている人が多く、「夫婦だけで同じ寝室」というケースはかなりの少数派ということが推定されます。
グラフ2から、子どもと一緒に寝ているのが「ママ」は92.7%、「パパ」が63.1%なので(複数回答)、その差の3割弱が、「ママ」と子どもが一緒に寝て、パパ(夫)は別の布団または別室で寝ていると推測できます。
どうしてそうなったのでしょうか?
授乳や夜泣きのために親(特に母親)が子どもと一緒に寝るようになり、夫婦と子どもが、いわゆる「川の字」になって寝ることがスタンダードになるようです。「結婚当時は寝室のベッドで寝ていましたが、子どもが生まれてからはベッドだと落ちてしまうのがこわいので、1階の畳の部屋で布団で家族全員で寝ています」というように、「子どもの安全のため布団に」→「畳がいい」→「和室がいい」となる家庭も多いようです。
また、「夫」が別室になるのも、同様に「子どもの誕生」がきっかけになるようです。
理由を見てみると、「夫の寝る時間が遅かったり朝早かったりするので子どもを起こしたくない」、「夫の眠りが浅いので、子どもの夜泣きで起こされると仕事がつらくなるため」、「出産してからは、お互いに子どもが寝ないとイライラしてしまい喧嘩になるので」などいろいろ。
「子どもの誕生」以外には、「夫のいびきがひどくなって」、「夫のエアコンの設定温度が低すぎる」という理由もありました。
また、「以前は1部屋に家族5人で布団を並べて寝ていましたが、今は部屋数もあり、就寝時間も違うため、夫は別室になりました」など、家を買ったことで変化するケースもありました。
しかし、子どもと一緒に寝ていても、約半数が子ども部屋を与えています(図3)
つまり、子ども部屋はあるけれど、あくまでも使うのは日中だけ、ということが分かります。もしくは子どもの物を置く収納場所としてしか使っていない場合もあるでしょう。
この「夫婦だけの寝室はない」、「子どもと母親が一緒に寝る」という状態は、日本の家庭ではスタンダードですが、欧米ではとても珍しいよう。もともと、赤ちゃんのときからベビーベッドで寝かせるのが普通のため(土足で生活することも関係があるのかもしれません)、子ども部屋と、夫婦の寝室は別にするのが一般的だそうです。
息子が3歳のときに夫の仕事の都合で渡米したHさんは、「息子は私たちのベッドで一緒に寝ていたのだけど、周囲には内緒。“自立できていない”って思われちゃいますから」と振り返る。
家族はあくまでも夫婦が中心と考える欧米諸国の人にとっては、「母親と子どもが同室で、父親は別で寝る」というスタイルは考えられないのかもしれません。
もちろん、この寝室のスタイルはずっと続くわけではありません。
子どもが成長するにつれて、子どもが1人で寝て、また夫婦だけで寝るようになるケースも多いようです。家を買ったことで部屋数が増え、子どもが1人で寝るきっかけになることもあります。
ただし、リタイア後夫婦の住まいのリフォームを数多く手がけた女性建築家によると、子どもが大きくなって独立するようになると、その分の部屋数があまり、また夫婦別室に戻る例も多いようです。
このように、子どもの成長に合わせて部屋の使い方は変わっていきます。5年後、10年後を想定しながら、どんな間取りがいいのか、どれだけ部屋数が必要か考えましょう。