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フランス書院 米の翻訳小説から出発だが「フランス」の理由

 1985年の創刊から29年。4月23日に発売されたばかりの神瀬知巳著『ふたり暮らし【義母と甘えん坊な僕】』は、「フランス書院文庫」の2000点目の記念すべき作品となった。フランス書院文庫は、1985年4月の創刊以来、官能小説のトップランナーとして数多の話題作を世に送り出してきた。

 1975年に創業したフランス書院の官能小説の最大のヒット作は『女教師』。入社30年を超える同社取締役でフランス書院文庫編集長のY氏が語る。

「著者はトー・クン、アメリカのペーパーバックライターです。日本のハードボイルド小説の父といわれる小鷹信光さんが訳を担当してくださいました」

『女教師』は、版を重ねロングセラーとなった。トー・クンの『義母』や『姉』もフランス書院から発売され人気となった。しかし、アメリカの翻訳小説から出発しているのに、なぜ社名が「フランス」なのか。そんな疑問に、Y編集長が苦笑交じりでこたえてくれた。

「フランス書院というネーミングはイメージ優先で決まったそうです。ドイツやアメリカでは、少しイメージが違ったのでしょう」

 なるほど、フランスといえば艶笑小説の本家本元。エスプリが利いているうえ、オシャレで小粋という印象が強い。

「創業当時は、エロチックなフランス映画『エマニエル夫人』が大ヒットしていました。フランスという言葉には、何となくエッチで芸術的な語感があったんでしょう」(Y編集長)

 こうしてスタートしたフランス書院は、1970年代後半から1980年代にかけて、翻訳路線で進撃する。だが、Y編集長はいう。

「80年代に入って、海外作品の質が目に見えて下がってきました。特に米国のポルノ小説は70年代後半に性の解放が進むほど、パワーを失っていった。やはり性文学というのは、抑圧された状況下でこそ妄想と鬱憤が蓄積され、エロティックなものになっていくんです」

※週刊ポスト2014年5月9・16日号

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