秋といえば、実りの季節。ぶどうや栗、さつまいもなどさまざまな食物が旬を迎える。そして忘れてはならないのがキノコ。全国的に生えるので、ハイキングついでに山で収穫する人も少なくないだろう。
だが、キノコを食べるうえで注意したいのが食中毒だ。東京都福祉保健局が運営する「食品衛生の窓」によれば、平成16年から平成20年までに年間42~79件のキノコ食中毒、年間77~232人のキノコ食中毒患者が全国で発生しているという。しかも、その9割が9~10月に集中するそうだ。
それでも旬の味覚を味わいたいという方は、きちんとした見分け方を身につける必要がある。そこで、埼玉きのこ研究会の上原さんに毒キノコの見分け方について話を伺った。毒キノコかそうでないかの見分け方はあるのだろうか?
「キノコ採取に慣れている人にアドバイスをもらったり、本などで特徴をよく把握してひとつずつ確認するしかないですね。“こういう特徴があるから毒キノコ”ということはほぼないと考えてください。なかには食べられるキノコに似た特徴を持つ毒キノコもたくさんあるので、そういったキノコは食べないのが得策です」
基本的にキノコの鑑定は難しく、採取に慣れた人でも時に食中毒を起こす人もいるのだとか。また、本に食べられるキノコと書かれているからといって安全とは限らないという。
「かつてスギヒラタケは食べられるキノコとして有名でした。しかし、腎臓に疾患のある人を中心に急性脳症を起こすことが判明し、現在では毒キノコに認定されています」
このスギヒラタケ、最終的には意識障害を起こし,脳浮腫が進行して死亡する危険性があるという。ほかにも危険をはらんだキノコは数多くある。カエンタケは触るだけでも炎症を起こすのだという。
とにかく、キノコ初心者が安易に手を出すのはかなりのリスクを伴う。少しでも不安があるものは口にしないことを心掛けよう。