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嘉屋 恭子
2014年6月6日 (金)

ホテルのような空間で生活できる「サービスアパートメント」とは?

コンパクトながら清潔感溢れるつくり。ホテルのような空間で生活できる「サービスアパートメント」とは?(撮影:筆者)
撮影:筆者

2020年、東京オリンピックの開催も決まり、ますます国際化が進む東京。東京のど真ん中、大手町の再開発ビルにも新しくサービスアパートメントができるとのニュースもあった。そもそも「サービスアパートメント」とはいったいどんな住まいなのか、取材してきた。

ラグジュアリーホテルのような室内の期間限定賃貸マンション

サービスアパートメントといっても、ピンと来る人はまだまだ少ないはず。六本木や高輪、池袋などでサービスアパートメントを展開するデュープレックス・ギャザリングの営業部高田さんに、どのような住まいなのか聞いてみた。

「高級ホテルのような室内で、自宅のように暮らせる“期間限定”の賃貸マンションのことです。海外では一般的ですが、日本では馴染みがないかもしれません。家具家電、食器などが備え付けられているので、着いたその日から自宅のようにリラックスして生活していただけます」と話す。

一般的なマンスリーマンションと同様、敷金・礼金が不要で、家賃だけで家具や家電付の部屋に住めることに加え、サービスアパートメントの場合は、室内の定期的な清掃やコンシェルジュなどが常駐していること、部屋の室内が高級ホテルのようにハイグレードであることが特徴だ。

利用は契約した即日から可能で、主に1カ月〜となっているところが多いが、ニーズにあわせて期間設定もできる。また、ホテルと違ってキッチンで自炊ができ、洗濯も自室でできるので、まさに「暮らしている」感覚だ。

ホテルのような空間で生活できる「サービスアパートメント」とは?

【画像1】ジュニアスイートの一室。タワーなので開放感があり、見晴らしもいい。キッチンの下部にはドラム式洗濯乾燥機も完備。周囲には飲食店もあるが、サービスアパートメント利用者は自炊する人が多いのだという(写真撮影:筆者)

では、どのような人が利用しているのだろうか。

「エリアによって異なりますが、半数ぐらいは海外のビジネスパーソンです。欧米をはじめ、インドやシンガポール、台湾、中国の方などが、お仕事目的で利用されています。日本人では地方企業の方の都心出張、経営者の方などが多いですね。利用期間は1カ月半〜2カ月程度が主流でしょうか。長い人だと4年(!)近くお住まいの方もいらっしゃいますよ」(高田さん)。コンシュルジュがいるのでセキュリティも行き届いているし、不特定多数が出入りすることもないので、生活する上での安心度も高そうだ。

ホテルのような空間で生活できる「サービスアパートメント」とは?

【画像2】池袋デュープレックスタワーのエントランス。シックで落ち着いた空間になっている(撮影:筆者)

間取りは1Rから。家賃はおいくらなの?

気になる賃料だが、池袋のデュープレックスタワーの場合、ワンルーム(29.1m2)なら月21万7000円〜、ジュニアスイート(35.36m2)なら月26万3500円〜。ラグジュアリーホテルで1カ月滞在するのと、サービスがつかないマンスリーマンションで暮らすのとの中間くらいの料金といったところか。とはいえ、やはりお金に余裕がないとこの金額はなかなか出せないかも…。

「賃料は室内の広さはもちろん、エリアや提供する会社によって異なりますね。サービスアパートメントのなかでも超高級物件だと、1室100m2以上あり月利用料も100万円ということも珍しくありません。こちらは完全に海外の超富裕層向けの住まいですね」(高田さん)

では、サービスアパートメントは都心にしかないのだろうか? 今後他のエリアでの展開も含めて聞いてみると、
「弊社池袋の物件にお住まいの方のほとんどが、大手町や丸の内エリアに通勤されています。海外の方ほど職住近接指向ですから、サービスアパートメントが展開するのは東京なら千代田区や渋谷区、港区、中央区、新宿区といった都心部になると思われます」(高田さん)という。

一方で海外からくる方を中心に、サービスアパートメントのニーズは根強いものがあり、「デュープレックス池袋」の稼働率は常時93〜95%だという。だが、ブームのように次々と誕生するとは考えていないという。
「室内空間のクオリティ、サービスの質、コスト削減のバランスをとりながら運営するには一定のノウハウが必要です。急激に普及するというよりは、住まいの選択肢として、堅実に広がっていくと考えています」と高田さん。

外国人に比べると利用機会は少ないかもしれないが、日本人がサービスアパートメントを利用するケースとしては、1カ月などの長期出張の場合、自宅をリフォームする間の仮の住まいとして、海外から帰国して新居を探すまでの間、などの実績があるという。
今後サービスアパートメントがじわじわ増えていくことで、ホテルでの長期滞在やマンスリーマンションでの生活、に加えて新たな選択肢として選ぶ人も増えてくるかもしれない。

●デュープレックス・ギャザリング
HP:http://www.duplexcs.jp/
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