竹内まりや

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竹内まりやについて

竹内まりやが自称する“シンガーソング専業主婦”とは、夫である山下達郎が考えた呼び方である。それは彼女の活動スタンスを表した言葉であると同時に、楽曲の世界観がいかにして生み出されているかを示している。竹内は、家庭に入って日々を送る大人の女性からの視線で、人生のさまざまな局面での感動や強い思いをナチュラルに歌う。それは、青春時代の恋愛や体験を歌うことが主流だった日本のポピュラーミュージックにおいて、新たなポップスのあり方を開拓したという点で、エポックを画したといえる。竹内の音楽において特に強い独自性を見せるのが、微妙な男女関係を描いたストーリーを紡いだラブソングだ。人気の高い「シングル・アゲイン」(1989年)は浮気によって別れた相手への思いを歌った曲で、ここでは揺れ動く女性の側の心理が繊細に捉えられている。あるいは「カムフラージュ」(1998年)はそれぞれ恋人のいる男女が一線を越えてしまう心理を歌っているし、「純愛ラプソディ」(1994年)は許されない関係も一つの幸せであることが歌われる。いずれも作詞作曲は竹内自身が、プロデュースは山下が手掛けており、こうした楽曲の多くがテレビドラマや映画などの主題歌になっている。つまり2人は、そのタイアップ作品の物語も有効に機能させながら、歌の世界を広げるアプローチを続けてきたのである。また、ラブソングとは異なるテーマでも多くの優れた作品を残しており、その最たるものが名曲「いのちの歌」(2012年)だろう。歌にはそれぞれの人にとっての大切な存在や日常を送れることの感謝の気持ちが込められており、それは人間として生きることそのものを描写しているといえる。竹内のこうした一連の楽曲に通底するのは、時代を超えた普遍性だ。歌詞には時代のトレンドや流行のワードが反映されることがあまりなく、時代性とリンクしたサウンドが全面的に用いられることも少ない。アレンジは山下の得意とするアメリカ西海岸のポップスやAORが参照されることが多く、どの曲の聴き心地も落ち着いていて、味わい深い。竹内自身の音楽性をたどると、基本的にはウェストコーストを意識したサウンドが一貫して流れている。この傾向はアイドル的なシンガーだった初期のころからで、当時の「September」(1979年)などはそうした路線の代表曲だろう。また、2010年代には世界中で日本のシティポップの再評価が起こり、そのブームの中で大きな注目を浴びた「プラスティック・ラヴ」(1984年)は、もはやシティポップの定番と認識されるほどのクラシックとなっている。“シンガーソング専業主婦”として、あくまで家庭を優先した日常を送っている竹内は、コンサート活動やメディアへの露出は多くない。ただ、その緩やかなペースの中でも質の高い作品を多数残し、それが幅広く愛されていることには疑問の余地がないだろう。このことは竹内がいかに優れたアーティストであるかを物語っている。

出身地
Taisha, Japan
生年月日
1955年3月20日
ジャンル
J-Pop

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