【動物の家シリーズ（6）】ハムスター住宅の新トレンド！5部屋からなる地下型物件

快適さを追求し、進化し続ける私たちの家。でも、意外と居心地がよさそうな家を持っているのが動物たちです。アイデアと工夫に満ちた彼らの住まいを、ちょっとのぞいてみませんか？もしかしたら、気持ちよく暮らすヒントが隠れているかもしれません。

登場するなり、ブロッコリーをもぐもぐしている今回の主役。人間と一緒に暮らす彼らの家は、カゴやケースの中など、いわばワンルームが定番ですよね。でも実は今、そんなハムスター住宅にちょっと変わったトレンドが生まれているみたいです。まずは、その物件を見ていただきましょう（ドン！）。

お弁当箱？　いやいや、これぞハムスターの一人暮らし用「地下型の巣箱」です（※）。肝心の間取りは、大部屋1つ、小部屋4つと廊下で構成されています。写真では見えにくいですが、天井部分に透明な板があり、一か所に出入り口（穴）が開いています。

そもそも野生のハムスターの暮らしは、砂漠などの乾燥した地面に穴を掘り、いくつもの部屋をつくるというもの。この巣箱に布をかぶせて暗闇をつくり、その上に回し車や水飲み場などを入れた“広場”を設置します。いわば地下室付きのメゾネットタイプなんですね。

この「地下型巣箱」の制作者・入澤二郎さんに、ハムスターの暮らしぶりについてお話を伺いました。

「ハムスターは、『食糧貯蔵庫』『寝室（育児室）』『トイレ』の部屋をつくる習性があるようです。この巣箱を5つの部屋に分けたのはそのためですが、部屋の使い方には入居するハムスターの性格が出るんです。5部屋全部に食料を貯め込んで、寝る場所がなくなってしまった食いしん坊もいましたね」（入澤さん）

部屋の使い道を自分で決めるだなんて、まるで人間みたいです。一般的には、一番奥にある大部屋にせっせとティッシュやふわふわの巣材を運びこみ、ベッドを作って「寝室」にすることが多いのだそう。

「寒い時は、巣材をたくさん運びこんでフカフカにし、暑くなってくると巣の外に運び出すことで温度調節をしています。排泄も、『トイレ』と決めた場所でしかせず、家の中を清潔に保っているんですよ」

確かに、ハムスターの飼育本にも「不潔な環境に弱い」と書かれています。さらには、「ストレスに弱い」とあり、かかりやすい病気のページも盛りだくさん…。ほら、やっぱり、食物連鎖的には食べられる側ですし。ネズミですし。某キャラクターみたいに、元気ハツラツというわけには…ねえ。

「いやいや、安心できる自分の家を持つと、みちがえるように変わるんですよ。外界に対しての好奇心がずいぶん強くなるようで、家中をくまなく探検し、自分のなわばりにする勇敢な一面もあります」

たとえば、“広場”の部分にタオルなんかを垂らしておくと、夜になると自分からそこを伝って部屋に出てくるのだそう。ぐるっとなわばりを回遊して、朝になるとまたタオルを登り、巣箱に帰って寝ているのだとか。

入澤さんいわく、「人間が自分のなわばりにいることには、『まあ、許す』くらいに思っている気がします…」だそうです。もう、どちらが飼い主か分かりませんね（笑）！

※画像の巣箱は、小型ハムスター（ジャンガリアン・ロボロフスキー・キャンベルなど）専用です。ゴールデンハムスターの場合は、およそ2倍のサイズになります。

ジャンガリアンハムスター　Photo by SimonSays-
＜本日の暮らしのヒント＞
絶対に安心だと思える自分だけの家を持ち、ぐっすり眠り、しっかり食べる。その基本的な生活が何よりも大切なハムスター。充実した生活基盤が好奇心の引き金になり、家中を冒険したり、くつろいだりする余裕につながるようです。

毎日にハリがない。楽しいことを見いだせない…。そんな悩みがあるなら、まずは安らげる部屋、よく眠れるベッド、おいしいごはん、そんなことから見直してみては？

＜まとめ＞
基本的な住環境を見直し、自分の中に眠る好奇心と冒険ゴコロをよみがえらせるべし。

ゴールデンハムスター　Photo by Sara Spildener
＜豆知識＞
小型種は「ドワーフハムスター」と呼ばれる。なかでも、人に慣れやすく、おっとりとした性格で有名なのがジャンガリアンハムスター。

ペットとしてポピュラーなゴールデンハムスターは、ハムスター界では大型。ほお袋にヒマワリの種を80粒もしまえるという最高記録を樹立。