今年の流行語大賞候補にも挙がっている「おもてなし」という言葉。東京オリンピック招致の最終プレゼンテーションで、滝川クリステルが放った台詞で、お客様をおもてなしするというまさに日本人ならではの心遣いを表す言葉として、世界中の耳目を集めた。
しかし私たち日本人は、果たして本当の意味での「おもてなし」を理解しているのだろうか。そもそも「おもてなし」の基本とはなんなのだろう。そこで今回は鎌倉時代からの武家礼法を継承する小笠原流礼法31世の小笠原清忠氏に、「おもてなし」に関して尋ねてみた。
そう語る小笠原氏。礼儀とは表面的な所作のみならず、その奥にある「人を敬う心」が重要と強調される。しかし当然ながら、基本的なルールは身につけておく必要がある。例えば家の中で客人をもてなす際に重要となる上座・下座の区別。大人になってもあやふやな人も少なくないだろう。
日本間のみならず、洋間にもそうした区別がある。
ふだんはあまり意識しない上座・下座だが、“自分の家の上座はどこか?”くらいは把握しておいたほうがいいだろう。そして、客人がお土産を携えてきてくれた場合、受け取る側にも作法がある。
途中のお店で、お土産を買って来られるお客様も多い。
なるほど、基本的な作法とともに、臨機応変に対処できる応用力も必要というわけだ。「おもてなしとは表面的なものではなく、人を敬う心を形を通して表現するものです」と小笠原氏は最後に語ってくれた。ちょっとした心遣いが、家にこられたお客様の心を温かくするようである。