住まいの雑学
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2013年11月8日 (金)

日本の心「おもてなし」 小笠原清忠さんに聞く、来客時のマナーとは?

流行語大賞候補にも上がっている「おもてなし」。日本人ならではの心遣いを表す言葉として、世界中の耳目を集めた(写真:Top Photo Group / thinkstock)
写真:Top Photo Group / thinkstock

今年の流行語大賞候補にも挙がっている「おもてなし」という言葉。東京オリンピック招致の最終プレゼンテーションで、滝川クリステルが放った台詞で、お客様をおもてなしするというまさに日本人ならではの心遣いを表す言葉として、世界中の耳目を集めた。

しかし私たち日本人は、果たして本当の意味での「おもてなし」を理解しているのだろうか。そもそも「おもてなし」の基本とはなんなのだろう。そこで今回は鎌倉時代からの武家礼法を継承する小笠原流礼法31世の小笠原清忠氏に、「おもてなし」に関して尋ねてみた。

「おもてなしとは、心遣いです。お客様といかに心を通わせるか、が大切です」

そう語る小笠原氏。礼儀とは表面的な所作のみならず、その奥にある「人を敬う心」が重要と強調される。しかし当然ながら、基本的なルールは身につけておく必要がある。例えば家の中で客人をもてなす際に重要となる上座・下座の区別。大人になってもあやふやな人も少なくないだろう。
 

「家の上座、下座は判断が難しいものです。一般的には床の間の向かって右が上座、左が下座という区分になります。しかし床の間が部屋の中心から右にある場合、あるいは左にある場合もあり、それぞれ上座・下座が異なってきます」

日本間のみならず、洋間にもそうした区別がある。

「洋間の場合は入り口より奥が上座、入り口に近いほうが下座になります。マントルピースに近いほうが上座です」

ふだんはあまり意識しない上座・下座だが、“自分の家の上座はどこか?”くらいは把握しておいたほうがいいだろう。そして、客人がお土産を携えてきてくれた場合、受け取る側にも作法がある。

「お土産が生ものである場合は、玄関でいただいてそのまま台所や冷蔵庫に運ぶのがよろしいでしょう。あるいはお菓子などの場合は、部屋にご案内してからいただくことになりますが、そのときはいただいたお土産は必ず上座に置きます」

途中のお店で、お土産を買って来られるお客様も多い。

「お客様は手提げの紙袋から出してお渡しされるでしょうが、残った紙袋を見て、『袋もお持ちしましょうか』あるいは『袋もお預かりしましょう』と声をかけるのが親切だと思います。しかしこれも状況次第で、若いお嬢様などはブランド店の紙袋を手元に置いておきたがる人もいますから、臨機応変に対処するのが大切です」

なるほど、基本的な作法とともに、臨機応変に対処できる応用力も必要というわけだ。「おもてなしとは表面的なものではなく、人を敬う心を形を通して表現するものです」と小笠原氏は最後に語ってくれた。ちょっとした心遣いが、家にこられたお客様の心を温かくするようである。

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