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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2012年8月15日 (水)

これから増える?「2.5世帯同居」ってどんな暮らし方なのか

【今週の住活トピック】
「都市型親族集住 2.5世帯同居の実態」調査報告を公表/旭化成ホームズ くらしノベーション研究所

https://www.asahi-kasei.co.jp/file.jsp?id=157738

二世帯同居ならよく聞く話だが、これからは「2.5世帯同居」が増えてくるという。2.5世帯同居とは何か? 増える背景とは何か? そんな疑問に答える調査結果が報告されている。

■2.5世帯同居とは? 増えている背景は?

当サイトの「NEWS」 でも、旭化成ホームズがヘーベルハウス「2.5世帯住宅」を発売したことを報じているが、今後は2.5世帯同居が増えてくるという。
二世帯同居とは、一般的には息子世帯とその親世帯が同居することだが、娘世帯とその親世帯の同居というケースも増えている。最近は、高齢化社会や共働き世帯の増加により、二世帯同居のメリットが見直されているところだ。一方、2.5世帯同居とは、親世帯に単身の娘や息子などが加わること、つまり子世帯にとっての兄弟姉妹いずれかとも同居することを指している。

旭化成ホームズの「くらしノベーション研究所」では、急速に進んでいる晩婚化、非婚化、離婚率の上昇などで30代~40代の単身者が急増していることにより、2.5世帯同居が増えると予測し、その実態を親子同居のトレンド分析や訪問調査、Web調査、プラン分析等さまざまな角度から調査した。
2010年の国勢調査の結果では、団塊世代を中心とする60代の世帯主の家族構成が、「夫婦のみ」で暮らす世帯に代わり「親と単身の子」で暮らす世帯のほうが多くなった。特にこの傾向は、都市部に多い現象で、東京都だけで見ると、「親と単身の子」の世帯が常に「夫婦のみ」を上回っている。こうした親世帯に単身の子が同居している場合、同研究所では「親世帯の将来の居住形態が不確定なために二世帯住宅建設の具体化は比較的難しいという認識」があったが、2.5世帯同居における暮らしの満足度の高さや単身の子が仕事を持つワーキングシングルであることなどから、「2.5世帯同居のスタイルが増加することを予測」したというのだ。

■2.5世帯同居の実態は?

調査から浮かび上がった2.5世帯同居の実態は、どういったものだろう?

○2.5世帯同居にはこんな傾向がある
・息子世帯+親世帯+女性単身(息子の姉妹)という組み合わせが多い
・親世帯には以前から単身の子が同居しているケースが多く、別居して賃貸に住んでいた子世帯が加わって、2.5世帯になるケースが多い
・2.5世帯同居では、玄関が別々の独立二世帯住宅が多く、夕食を世帯で別にとるなど暮らしの独立性も高い
・間取りは、キッチンが2つの二世帯住宅で、同居シングルの個室は親世帯の玄関近くという傾向に

家族構成を見ると、2.5世帯同居では息子世帯との同居の比率が83%と高く、また同居する単身者は女性が63%を占める(うち9%に婚姻経験がある)ことが分かった。したがって、息子世帯+親世帯+単身女性(息子の姉妹)のような組み合わせが多いことになる。また、従前の親世帯の住宅に単身の子が同居している比率は93%と極めて高く、子世帯が別居している比率が87%と高くなっている。この場合の子世帯は賃貸である比率が約7割だった。
新居の住居形態は、二世帯同居と比較し玄関が2つある独立二世帯住宅である比率が高く、その場合の満足度(大変満足48%・まあ満足48%)は、2世帯同居の満足度(大変満足39%・まあ満足57%)を上回った。
2.5世帯同居の実態調査 家族の状況※「都市型親族集住 2.5 世帯同居の実態」調査報告書より抜粋

また、親世帯と暮らす単身女性の場合については、84%がフルタイム、6%がパートタイムと9割が就業しており、75%が実家に生活費を入れている。新居の建設にも貢献しており、建設費を出したのは36%、住宅ローンを借りたのは14%だった。
一方、親世帯(両親)の建設資金の提供については、二世帯同居の場合は、父親の75%、母親の26%が建設費を出しているが、2.5世帯同居になると父親の86%、母親の34%が建設費を出しており、2.5世帯同居のほうが親世帯の資金提供力が増加する。つまり、2.5世帯同居の場合は、子世帯のローンだけでなく、親世帯やワーキングシングルからの資金が加わることで、経済効率の働きもあることが分かった。

さて、筆者が名古屋で取材した二世帯住宅建設者の場合でも、親世帯に末子が同居していたり、長兄家族に加え次兄家族も同居する大家族同居の事例が見られた。通常の二世帯同居では、親世帯vs子世帯の対立関係になりがちだが、2.5世帯同居のように家族構成が多様化すれば緩衝機能が働き、コミュニケーションが円滑になるという側面もあるだろう。もちろん、「2.5世帯が暮らせる広い住宅を建てられる土地がある」という前提になるが、同居に限らず近居のスタイルで類似した暮らし方をする家族は、今後増えるように思われる。

60代の世帯主の世帯類型(国勢調査より作成)※「都市型親族集住 2.5 世帯同居の実態」調査報告書より抜粋

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