3月20日は春分の日。昼と夜が(ほぼ)同じ長さになる日で、お彼岸の中日にもあたる。お彼岸といえば、お墓参りに行ったりぼた餅を食べたり、というイメージがあるが、みなさんはどういった過ごし方をしているだろうか?
春分の日の過ごし方について、うつくしいくらしかた研究所の神谷真生氏にお話を伺った。
春分の日(秋分の日)の前後がお彼岸とされているのは、太陽が真西に沈むこの時期、極楽浄土が最も近くなると考えられているから。この期間に仏様の供養をする事で、極楽浄土へ行くことができるとされる。だから、春分の日に先祖の供養をするのは、仏教の観点からは重要なことなのだ。そして春の気配を感じる機会でもある、という神谷氏の考え方にもうなづける。
ちなみに、春分の日は、法律では「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」と定められている。その由来について、神谷氏はこう語る。
そもそも、古来から、人々は春分の日を・春の訪れを祝う日・としていた。それと同時に祖先に感謝する日として、お祭りや神事を行っていたようだ。現在でも、農家では春分の日の前後が種まきの時期にあたり、京都の平安神宮などいくつかの神社では、この日に五穀豊穣を祈る神事が行われる。「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」とされる背景には、こういったいきさつがあるのかもしれない。
さて、お彼岸に食べるものといえば、ぼた餅。ぼた餅に使われる小豆の赤色には、災難から身を守る効果があるとされており、「邪気を払う」という意味から、先祖の供養にぼた餅を供えるようになったといわれる。これは江戸時代から長く続く風習で、いまだに全国共通だ。その他、精進料理を食べる習わしも多く残っている。それ以外に、春分の日の食卓を彩るのにぴったりの料理や食材はないだろうか。
折角の祝日、お墓参りをして祖先を敬うと同時に、その行き帰りの道端やスーパーの店先に、春を探しに行くのも良いかもしれない。