住まいの雑学
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2013年3月20日 (水)

春分の日=お彼岸。お墓参り、ぼた餅…あなたはどう過ごす?

3月20日は春分の日。昼と夜が(ほぼ)同じ長さになる日で、お彼岸の中日にもあたる。お彼岸といえば、お墓参りに行ったりぼた餅を食べたり、というイメージがあるが、みなさんはどういった過ごし方をしているだろうか?

春分の日の過ごし方について、うつくしいくらしかた研究所の神谷真生氏にお話を伺った。

「春分の日といえば、やはりお墓参りをするのが一般的な習わしですね。お墓は野外にあることが多いので、春めいてきた気温や湿度、咲き始めた花の種類など、自然の変化を肌で感じられます。こういった季節の変わり目にお墓参りをする『彼岸』の習わしによって、知らず知らずのうちに自然に接する機会ができているのだと思います」

春分の日(秋分の日)の前後がお彼岸とされているのは、太陽が真西に沈むこの時期、極楽浄土が最も近くなると考えられているから。この期間に仏様の供養をする事で、極楽浄土へ行くことができるとされる。だから、春分の日に先祖の供養をするのは、仏教の観点からは重要なことなのだ。そして春の気配を感じる機会でもある、という神谷氏の考え方にもうなづける。

ちなみに、春分の日は、法律では「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」と定められている。その由来について、神谷氏はこう語る。

「『二十四節気』(1年を24等分した約15日間の区切り)では、春分の日は『春分』の節気に含まれます。また、そのすぐ前の節気は『啓蟄(けいちつ)』です。啓蟄は、土中で冬眠していた生き物が、徐々に眠りから覚めて地上に姿を現し始める時期、とされます。春分の日が『生物をいつくしむ』日と言われるのには、春本番に向け、生き物が長い冬を経て姿を見せ始める様子に細やかな心配りをしながら過ごしたい、という気持ちが込められているように思います」

そもそも、古来から、人々は春分の日を・春の訪れを祝う日・としていた。それと同時に祖先に感謝する日として、お祭りや神事を行っていたようだ。現在でも、農家では春分の日の前後が種まきの時期にあたり、京都の平安神宮などいくつかの神社では、この日に五穀豊穣を祈る神事が行われる。「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」とされる背景には、こういったいきさつがあるのかもしれない。

さて、お彼岸に食べるものといえば、ぼた餅。ぼた餅に使われる小豆の赤色には、災難から身を守る効果があるとされており、「邪気を払う」という意味から、先祖の供養にぼた餅を供えるようになったといわれる。これは江戸時代から長く続く風習で、いまだに全国共通だ。その他、精進料理を食べる習わしも多く残っている。それ以外に、春分の日の食卓を彩るのにぴったりの料理や食材はないだろうか。

「地方によっては、ぼた餅のほか、お団子や天ぷらを食べる、という話も聞きます。また、お彼岸にちなむわけではありませんが、この季節に旬を迎える食材として、アサリ、白魚、サヨリなどの春らしい魚介類がありますし、山菜類も出回り始めます。伝統的なぼた餅とあわせてそういった季節の恵みを楽しむのが、春分の日を過ごすのにふさわしいスタイルではないでしょうか」

折角の祝日、お墓参りをして祖先を敬うと同時に、その行き帰りの道端やスーパーの店先に、春を探しに行くのも良いかもしれない。

■うつくしいくらしかた研究所
http://www.kurashikata.com/
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