ヌヌマチガマ、続く対立 NPOが新たな入り口


社会
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沖縄鍾乳洞協会が設置したヌヌマチガマに下りるための階段=27日、八重瀬町

 【八重瀬】ことし6月に八重瀬町が町の戦跡「ヌヌマチガマ」の指定管理と入壕受け付けを特定のNPO団体に委託したことに反発し、洞窟調査や案内を行うNPO法人沖縄鍾乳洞協会(山内平三郎理事長)=同町=は10月に、別の場所に新たに入り口を設けて独自に案内を始めている。

壕内には鍵付きの扉も設置した。町は「扉が設置された場所は町有地であり、今後の平和学習の妨げになる」として来月初めにも扉を強制撤去する構えだ。
 町は3月末までに日本軍の野戦病院壕として使われた同ガマ周辺を戦争遺跡公園として整備。6月には指定管理者をNPO法人沖縄自然学校に決定し、受け付け窓口を一元化した。
 これに対し沖縄鍾乳洞協会の松永光雄理事は「私たちは案内や遺骨収集、ごみの撤去を長年やってきた。なぜ突然排除されるのか。地元民が自由に案内できないのはおかしい」と反発。10月に地権者の了解を得て従来の入り口の道向かいに新たな入り口を作り、二つの入り口をつなぐ壕内通路には扉を設置した。
 一方、同協会に対し町は口頭や書面で扉の撤去を通告したが回答が得られなかったとして、12月1日にも扉を強制撤去することを決めた。同町教育委員会は「12月2日には約120人の修学旅行生が入壕する。このままでは平和学習の妨げになる。撤去は避けたかったが、やむを得ない」と説明した。(赤嶺玲子)