愛知県長久手市にある、多世代交流自然村「ゴジカラ村」。約1万坪の雑木林の中に、特別養護老人ホームやケアハウス、幼稚園などが点在する福祉複合施設だ。目指したのは、「さまざまな世代の人々が共に暮らし生きる、雑木林のようなコミュニティ」だという。
ゴジカラ村を運営するのは社会福祉法人愛知たいようの杜。暮らしの座標軸は「雑木林」で、雑木林のように未完成でいい、雑木林のように混ざって暮らすという理念がある。
ケアハウスとデイサービスセンターのとなりには、系列の「もりのようちえん」があり、園児たちの元気な声が響き渡る。園児がお年寄りの施設を訪れ、一緒に木の実を使って工作したり、昔ながらの遊びを教わる時間も設けられている。実際の祖父母と同じように、運動会などの行事にも招待するという。
子どもたちの歓声をBGMに過ごし、日々元気を補充しているゴジカラ村のお年寄りは、自分の生活ペースを保ち、毎日を楽しんでいるように見える。自主的に園児の登園を見守る、ケアハウスのおじいちゃん&おばあちゃんグループもあるという。
日ごろ年配の人と接する機会が減る昨今、子どもたちにとっても良い影響は大きい。ゴジカラ村のおじいちゃんやおばあちゃんと毎日ふれ合うことで、自然の中で生きる知恵を知り、お年寄りを敬う気持ちや思いやりの心が芽生えていく。
さらに特徴的なのは、施設内で「もりのようちえん」の園児のママが働いているということだ。子どもの登園後に勤務を開始し、降園時間にはとなりに迎えに行って帰るという。
森さんと山口さんは、園に子どもを預けている間、デイサービスセンターで調理を担当。「園のママさんの口コミで仕事を始めました。自然に囲まれた環境や、ここの雰囲気が好きなので、子どもが卒園してからも働き続けたいです」と森さん。山口さんは、「うちの子がおじいちゃんやおばあちゃんに自分から挨拶したり、手を貸す様子を見て、この幼稚園でよかったと思いました」という。ゴジカラ村の事務を担当する坂田さんは、「通常、長期の休みがある幼稚園児の母は就業しづらいのですが、ここは休みの日に子どもを連れてきてもいいので助かります」と話す。
ゴジカラ村で働くママたちは、夏休みや冬休みの間、子連れで出勤してもいい。子どもは母親の目の届くところにいて施設のお年寄りと遊んで過ごす。「ママたちのためというよりも、お年寄りのために子連れOKなんです。子どもを見守る役割が生まれるので」と大須賀理事長。本来あるべき姿である「多世代で過ごすこと」は、各世代がイキイキ過ごせるという効果を持っているようだ。
私も幼稚園児を持つママ。働く上で、長期の休みや半日保育の日などは、子どもの預け先に頭を悩ませる。自然の中で多世代とふれ合いながら、子どもの成長を近くで感じ、効率的に働けるゴジカラ村の職場は理想的! 今後、こういった施設が増えることを期待したい。