コンピュータ上で制作した3Dデータを設計図に、立体物を作成できる3Dプリンターが話題を集めている。その技術は、さまざまなものに使用され、最近では住宅模型を3Dプリンターで制作する企業も増えているという。
住宅模型に限らず、もしかしたら近い将来、3Dプリンターを使用して実際に家を建てられるようになるかもしれない…。3Dプリンターの可能性には、そんな壮大な夢を感じずにはいられない。そこで今回は、3Dプリンターで家を建てられるのか、今後の可能性について専門家に伺った。お話を聞いたのは、3Dプリンターを使用した住宅模型の制作を手がける株式会社アイジェットの代表・久米原勝さん。
「現実的には不可能ではないですが、現段階では3Dプリンターを使用して家を建てるだけの技術はまだないですね。また、3Dプリンターを使用するメリットもあまりないと思います」
それは、一体どういうことなのだろうか?
「まず家を建てるだけの巨大な3Dプリンターを用意するのに莫大な予算が必要です。また、家のような直線的な材料が必要なものは、3Dプリンターを使用するよりもはるかに効率的な技術がすでに確立しているんです」
久米原さんによれば、3Dプリンターの技術は曲線的なデザインだったり、細かい作業が必要だったりと、人の手では制作しにくいものをつくる場合に本領を発揮するのだとか。では、現在の技術では一体どのようなものがつくれるのだろうか?
「大きいものだと、コンセプトカーを制作した事例はありますね。また、弊社で制作を請け負っている住宅模型なども人の手でつくるよりも精巧なものができますよ」
3Dプリンターで住宅模型を制作すると、家具などの細かいものまで精密につくることができるのだとか。また、人の手による模型はすぐに壊れてしまうが、3Dプリンターで制作した模型はケースに保管すれば、ほぼ永久的にかたちとして残るそうだ。ちなみに値段は1/100スケールで約5万円とのこと。
予算やメリットの問題で、今のところ住宅への応用はなさそうな3Dプリンター。ボタンひとつで家が形づくられる時代は、まだまだ先になりそうだ。