17日間にわたり熱戦を繰り広げたソチオリンピックもついに幕を下ろした。日本勢はメダル8個を獲得する大健闘。惜しくもメダルは逃したが、浅田真央選手のフリースタイルの演技は、日本中で多くの感動を呼んだ。
そんな盛況のうちに幕を下ろしたソチオリンピックだが、今回はロシア開催を記念して、ロシアの住宅事情についてご紹介したい。お話を伺ったのは、日系企業の駐在員向けに住宅・オフィスの仲介を行い、またモスクワ在住の日本人向け情報誌を発行するスターツ・ロシアの担当者。ロシアのなかでも、特にモスクワを中心とした住宅事情について聞いてみた。
「モスクワでは一戸建ては希少であり、分譲マンションが主流です。そのなかで所有者が長期使用しないもの、投資用として所有しているものが賃貸住宅として貸し出されています。いわゆる分譲賃貸ですね」
なるほど、広大な土地を有するロシアなのに、一戸建てが少ないのは意外だ。では、マンションはどのような特徴があるのだろうか?
「部屋ごとに家主が異なるので、間取り・内装・家具の有無も違えば賃貸条件も異なるのが特徴といえるでしょう。もともと家主が居住していた物件では、食器類・掃除機・布団・タオルまでそろっているところも多いです。建物の形式や間取りなどは日本とそれほど違いはありません」
家賃の相場はどのくらいなのだろうか?
「モスクワ市内で日本人駐在員の方々が住む集合住宅でいうと、単身者の場合1ベッドルーム以上、家族の場合は2ベッドルーム以上が主流なのですが、だいたい1ベッドルームが日本円で240,000~390,000円、2ベッドルームだと360,000~600,000円程です」
さすが首都だけあり、なかなかの金額だ。ちなみに周辺環境はいかがだろう?
「ロシアでアジア系人種は目立ちますので、防犯に気を遣う必要があります。ほとんどの駐在員はコンシェルジュやセキュリティスタッフ常駐のマンションにお住まいです」
また、テロは少なくなりつつあるとはいえ、公共交通機関の利用を制限している外資系企業はいまだに多いそうだ。
最後に、住宅探しで気をつけるべき点は何だろうか?
「工場をリノベーションしてオフィスとして使用しているケースもありますが、そうした場合、工場のメンテナンスのため夏場に2週間ほど温水の供給が止まります。ですので、物件内に給湯器を取り付けてあるかの確認が必要です。冷暖房設備については、ほとんどの物件で、暖房設備が整っているほか、夏場は湿度が低いので気温が上昇しても風通しをよくすればしのげるので、さほど気にする必要はありません。しかし中心部など空気が悪い場所では、エアコン設備の有無も確認したほうがよいでしょう」
オフィスビルなどは近年の経済成長による需要に追いつかず、供給不足。そのため築数十年、なかには19世紀に建設されたビルや倉庫、工場をリノベーションしてオフィスにしたものも多いのだとか。これから、国の経済成長に伴いロシアの住宅事情もどんどん変化していきそうだ。