イラク、イスラエル、ウクライナ……世界各地で燃え盛る戦火。日本では「集団的自衛権」の行使容認が閣議決定されたが、現実の戦争は机上で予め想定できるほど甘くはない。歴史に学び、真の戦争と平和を知るためにも今観るべき傑作映画を「戦地を知る人々」が選んだ。“不肖・宮嶋”こと報道カメラマンの宮嶋茂樹氏が選んだのは『ブラックホーク・ダウン』。この映画の魅力は何か、宮嶋氏はこう語る。
「ソマリア内戦で実際に起きた米軍とゲリラの激闘(1993年)を描く。ソマリアの海賊退治で日本から派遣された自衛隊の海上・航空部隊の活動拠点が隣国ジブチにあり、そこで取材を重ねた。
世界で最も過酷な高温多湿の地であり、この作品を鑑賞すると当時の記憶から背中にじっとりと汗をかく。米陸軍の実機ヘリを使用したリアルな戦闘場面は、私をして再びアフリカの地に赴くことをためらわすほどである」
※SAPIO2014年9月号