借りる   |   リフォーム・内装
団地がリノベ、DIYで進化中!
98
青木譲
2014年2月21日 (金)

名古屋でも暮らしに合わせてカスタマイズ可能なUR賃貸物件が登場

DIYで驚きの変貌を遂げた宮本さんの部屋@名古屋市・鳴海団地(撮影:青木譲)
撮影:青木譲

東京、大阪に続き、名古屋でも募集を行っている、UR都市機構の「DIY賃貸住宅」。入居者が間取りや壁紙などを自由に変更、工事でき、リフォームにともなう優遇措置も受けられるというシステムだ。日本ではまだ馴染みが薄いが、アメリカなどでは人気が高く、都市部を中心にこれから需要が増えると予想されている。名古屋でも若い夫婦や学生などで関心が高まっていると言う。名古屋第一号となる物件を見学してきたので紹介しよう。

共通項を大切にした住宅から、個々の事情に応えた住宅へ

高度成長期の昭和40~50年代。逼迫(ひっぱく)した都市の住宅事情に応えるため、なるべく多くの人が「平均的に使いやすい」間取りの賃貸団地が日本各地にできていった。そんな団地に今、空き部屋が目立ち始めているという。

UR都市機構中部支社の中尾さんは「若い人は昔ながらの水まわりや間取りに抵抗があり、古い団地を敬遠しがちです。一方子育て世代でもダイニングが狭い、古いイメージがあるなど、以前はよいとされていた間取りに不満を持つ方が増えています。しかし昔からある団地は、駅そばで周辺環境がいい、日当たりがいいなど、利点も多い。そこで、団地の利点を活かしつつ、個々のライフスタイルに合わせて部屋を自由に変えていただこう、というのが今、名古屋でも関心を高めつつあるDIY住宅なのです」と言う。

募集第一号となった鳴海団地に応募してきたのが、女性建築デザイナーの宮本久美子さん。ちょうど結婚が決まり、夫と2人の新生活を始める部屋を探していたところ、DIY住宅の募集を見つけて即応募したとのこと。

設計から始めて業者に入ってもらったり、塗装や家具製作などのできることは自分でしたりして、入居は11月から。「工事期間としてあらかじめ設定された最大3カ月の間、家賃の支払いが免除になったので助かりました。DIY工事の内容について図面をそろえるだけで、工事期間中の家賃の免除の申請もすぐ通りました。手続きが思ったより簡単、スムーズで驚きました」と宮本さん。

寝室、書斎で最低限のプライベートを確保し、リビングを広く明るく

小上がりの足場板フローリングとコンクリート直塗装のコラボがスタイリッシュな、宮本さんのリビング。夫婦それぞれに1.5畳ほどの書斎を確保し、寝室もクイーンサイズのベッドがぎりぎり入る広さに抑えた。その分、壁を1枚取り払い、日当たりのいいベランダに面した部分が開放感のある気持ちのいいリビングに変身。

名古屋でも暮らしに合わせてカスタマイズ可能なUR賃貸物件が登場

画像1】南側が2部屋に別れ、光があまり届かなかった以前の間取り(左)と、壁を払い、広く明るいリビングになったDIY工事後(‘右)(撮影:青木譲)

名古屋でも暮らしに合わせてカスタマイズ可能なUR賃貸物件が登場

【画像2】リビングの一角にあるベッドのサイズギリギリの広さの寝室(撮影:青木譲)

仕事のため最低限のプライベートスペースが欲しい2人の要望と、たくさんのお客様を招くというライフスタイルにぴったりの間取りだ。招かれた客も「これが賃貸?」と、みんなびっくりするそうだ。

名古屋でも暮らしに合わせてカスタマイズ可能なUR賃貸物件が登場

【画像3】ベッドルームを最小限におさえ、開放感のあるリビングと夫婦それぞれの書斎をつくった(画像提供:左/UR都市機構、右/宮本さん)

【画像4】書斎の本棚はもともとはクローゼットだった部分をDIYでつくった(撮影:青木譲)

【画像4】書斎の本棚はもともとはクローゼットだった部分をDIYでつくった(撮影:青木譲)

またキッチンも自慢の一つ。新しいシステムキッチンのようにも見えるが、もともとのキッチンの収納ドアすべてを外して中の見える収納に。また、自分たちで茶系に統一した塗装をしてイメージチェンジ。あえて中を見せることで、コンクリート直塗装の部屋に調和したモダンな雰囲気になっている。

名古屋でも暮らしに合わせてカスタマイズ可能なUR賃貸物件が登場

【画像5】自分たちで改装したキッチン(右)と同タイプのもとのキッチン(左)(撮影:青木譲)

宮本さんは、「費用を抑える目的もあり、塗装や棚づくり、キッチンの改装などはなるべく自分たちで行いました。」と、自分たちでできること、プロに任せることをしっかり分けて、乗用車1台分ほどの費用で理想の住まいを手に入れた。住宅デザイナーとして、自分の設計したこの空間でコンテストに応募することも検討中だそう。

UR都市機構 中部支社のDIYでは、宮本さんの話にもあった工事期間(最長3カ月)の家賃免除のほか、退去時の現状回復の免除も受けられ、家賃はそのまま住むのと基本的に変わりがない。

UR都市機構の中尾さんは、「家族が増えたときなど、申請していただければ入居後のDIY工事も可能です。また、自分で好きな色に壁を塗ったり壁紙を貼ったりするだけでも、申請をいただければ原状回復責任がなくなるので、数万円の工賃で手軽にDIYを楽しみたい方にもオススメですよ」と、さまざまな活用シーンを想定している。

●UR都市機構 鳴海団地
HP:http://www.ur-net.go.jp/chubu/diy/
https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2015/05/a8e27edbb109e1b071a7d334b4ec9262.jpg
団地がリノベ、DIYで進化中! リノベーションやカスタマイズだけでなく、企業や学生、アートともコラボ!団地を新しい形で再生させる取り組みが活発です。
23
前の記事 品川プリンス・レジデンスの「カスタマイズモデルルーム」がオープン
次の記事 1階にコンビニや飲食店がある物件を選ぶとき、知っておきたいこと
SUUMOで住まいを探してみよう