• 中国人は1人なら「龍」だが、3人だと「豚」になる

    こんにちは。中国在住の日本人ライター、Hanaです。日本人にとって仕事とは、金儲けと共に「社会に対してどれだけの貢献をしているか」ということが、欠かすことのできない要素になっていると思います。お客様に価値のある商品やサービスを提供し、喜んでいただくことで、職業人としてより深い達成感が得られます。

    このような価値観が中国でも通用するかと問われると、「残念ながら…」と答えざるを得ません。拝金主義がのさばる中国では、地方で気質に差はあるものの、仕事を行なう上での最優先事項は「金」です。"より多く賢く儲かった方が勝ち"という価値基準なのです。

    「集団」の中ではマナーも何もない彼ら

    中国人は集団行動の中では「自分が前に出るためには手段を選ばない」という人が多く、生活のあらゆる場面で見ることができます。礼儀正しく列に並んだためにバスに乗り損ねたら、「間抜け」という存在になります。手段を尽くして必死に乗らなかったのが悪い、というわけです。まさにサバイバルの世界ですよね。

    小売店でも、中国人は商品を引き渡して代金を受け取ったなら、あとは責任を取りません。レジで釣り銭が間違っていても、その場ですぐに言わなければ、レシートを持って行こうが取り合ってもらえないのが普通です。

    そればかりか、買った商品に問題があっても返品交換はなかなか難しく、特に食品に関しては腐っていようが食中毒になろうが、どうしようもありません。「見る目がなかったのが悪い」または「運が悪かった」ということで諦めるしかないのです。

    実は中国の企業から商品を輸入する場合にも、残念ながらこれと似た状況が見られます。コンテナを開けた時点で問題が一目瞭然であればいいのですが、大抵はそう簡単にはいきません。代金を支払った後、しばらくしてから、少しずつ商品の実態が明らかになることが多いのです。

    実態が分かってから中国側に苦情を訴えても、相手はすでにお金を受け取っているので、ほとんど他人事。「分かりました、遺憾に思います。原因を調べておきます」などと、適当な慰め文句のメールをくれるだけだったりします。

    実は起業家が多く、他人の下で働きたがらない

    このような被害に遭わないため、中国貿易の安全策として最も重要と考えられるのは「責任感のある担当者」を探すことです。

    「中国人は1人なら龍だが、3人だと豚になる」

    そんな中国の諺を聞いたことがないでしょうか? 簡単に言えば、「中国人は1人だと能力を発揮するが、集団行動には向いていない」という意味です。ちなみに日本人は、これの逆バージョンとなっています。日本人は集団で大きな力を発揮するということですね。

    中国人の「龍」の例としては、起業家が多いことが挙げられます。一般的に中国人は他人の下で働くよりも、自分で会社や店を開くことを好みます。大部分の若者が独立して起業したいという願いを持っていることには、保守的な日本人の一人として驚きを禁じえません。

    「豚」の例としては、個人レベル以外の所では烏合の衆そのものだということです。先ほど例に挙げたバス、地下鉄など公共交通機関などの現状にも如実に表れています。

    地下鉄では「降りる人優先」と繰り返し放送されていますが、ドアが開くと同時に、乗客がわれ先に乗り込もうと押し寄せ、降りようとする人を押し戻します。結果、「降りさせて~!!!」と叫ぶ人が続出する始末。駅の係員が拡声器で怒鳴り続けていて、本当にお疲れさまです。

    権限も責任も「個人」が追うメリット

    豚の面はともかくとして、企業の中で担当者1人は、さながら龍のようだといえます。物事が会議なしには決められない日本と違って、中国企業の担当者の権限はかなり広く、価格の変更から日付の調整まで担当者次第でどうにでもなります。

    権限が大きければ、当然責任も重く、企業によっては実際に生じた損害や不利益を担当者の給与から差し引くというシビアな制度を採っています。仮にその担当者が転職した場合でも(ちなみに中国人は頻繁に転職します)、彼または彼女について顧客も移ってしまうということもしばしば。それほど担当者の存在は大きいのです。

    では、どういう人が信頼できるのか。それはしばらく付き合ってみなければ正直分かりませんが、ある程度は文書のやり取りや会話からも窺えるものです。もし身近に本当に信頼できる中国人がいれば、相手と話してもらってから意見を聞いてみるのも一つの方法です。

    全体的に言える事は、こちらが誠実であれば、「龍」の状態の中国人は大抵誠実に接してくれるということです。ただし個人的に仲良くなりすぎないことも大事です。馴れ合いの関係になると、商品にトラブルが発生した際に、決然と問題点を突き詰めることが難しくなってしまうからです。なあなあの関係になることと、問題の解決を前提に話し合って折り合いを付けることは全く別の話です。信頼関係を築くと共に、一歩距離を置いておくバランス感覚が求められます。

    あわせてよみたい: 「約束の半分は守られない」中国の文化

    【プロフィール】Hana
    九州出身の30代元OL。日本の中小企業で経理や貿易事務などの業務に携わった後、単身中国にわたる。現在は中国某都市で、日系企業の中国人社員を対象とした日本語教師をしている。中国文化と貿易事務に詳しい。

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